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そんなわけで、再び林の中。
木の陰に隠れてグラトニーの様子を窺っているわけですが。
「ロイ・マスタングはどこだ!!よくもラストを!!許さんぞぉおおぉおおおおお!!!」
「闘うって言っちゃったけどぶっちゃけおっかねぇ…!!」
「口調変わってるゾ…」
「やっぱり逃げれば良かった…」
「お腹すいた…」
問題はどうやって捕まえるかだ。
広範囲をバクリと飲み込んでしまうので、おいそれと近付くことも出来やしない。
「だいたい飲み込んだ質量はどこに行ってんだよ!!」
「あの腹の中!?んなわけないでしょコラァ!!」
「知るカ!!人造人間ってものは錬金術の分野だろウ!?」
埒があかない。
今からでも遅くない、逃げようか、などと思っていたリオの隣で、リンが振り返った。
アルフォンスの鎧の外に出ていた熊猫ーーシャオメイもまた、同じほうを向き、威嚇する。
クライサたちもそちらに目を向けると、そこに黒い馬の姿を見つけた。
「止まれ、グラトニー」
「しゃべっタ!?」
その馬が言葉を発したことに、リンが驚き声を上げた。
それに馬が反応し、ザワリと空気を変える。
「おまえっ…この前の…!!」
逆立つ黒のたてがみ。
足や頭部の形が、メキメキと音を立てて変わっていく。
「やぁ、鋼のおチビさんと氷のお嬢さんはお久しぶりだぁ!」
クライサたちの目の前で、その馬は長い黒髪を携えた人造人間ーーエンヴィーへと姿を変えた。
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