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「閣下が人造人間…!?そんな…そんなわけ…」

そしてリオは、気付いていなかった。
嘘をついている様子も無い。
だがリンは、人ならざる人の気配があるグラトニーとは違い、ブラッドレイは明らかに人間の気配と一緒なのだと言う。

書物によれば、人造人間は生殖能力の無い生命体とされているが、ブラッドレイには子どもがいる。
しかし、その息子のセリムは養子だ。
つまり、彼にはその血を分けた実子がいない。

リンの言うように、ブラッドレイが人造人間である可能性は高い。

「化物か人か……なんにせよ大総統の椅子から引きずり下ろしやすくなったな!」

ロイは野心に満ちた目で笑みを浮かべるが、対照的にリオの顔色は悪い。
父同然に慕っていたブラッドレイが人造人間だと言われ、平然としていられるわけがないのだ。
心配そうに彼を見たクライサと目を合わせ、心配するな、とばかりにリオは首を振った。

「まずはグラトニーから情報を引き出す。もし取り出せるのなら賢者の石もいただこう」

ハボックの治療に使えるかもしれない、と考えたロイだったが、リンがそれを止める。
ランファンの腕を落としてまで手に入れた、不老不死の手がかりだ。

「グラトニーは今すぐにでもシンに持ち帰らせてもらウ!」

「ちょっと待てよ!!」

今度はエドワードが声を上げた。
元の身体に戻る方法を長いこと探してきたのだ、持ち逃げは許せない。

「クライサはもちろんオレたちの味方だよな!?」

「へ?あ、うん」

「エックスフィート!貴様はどうだ!?」

「は?いや俺は何でもい…」

「返事によっては消し…」

「もちろんマスタング大佐の意向に大賛成であります!!」

「脅すなよ…」

呆れ果てるノックスとクライサをよそに、エドワードたちは子どもの喧嘩のような言い争いを繰り広げている(リオは哀れにも巻き込まれている)。
ふいにグラトニーの様子を窺ったクライサが、その異変を察知した。

「マスタング…?」

先程のリオの発言を耳にしたらしく、ロイのファミリーネームを口にしたのはグラトニーだった。

「ラストころした…ラスト…マスタングたいさ…」

さすがにその声が聞こえたのか、ロイたちも言い争いを止めてそちらに注目する。
だがその直後、彼らはその目を見開くこととなった。

「ロイ・マスタング!!」

「!!!」

体を起こしたグラトニー、その腹部が縦に開かれ、奥にぎょろりとした巨大な眼が現れる。
殺気のようなものを感じ取ったクライサが、反射的に後ろへ跳んだ。








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