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クライサたちがスカーと対峙していた時、リンとランファンも人造人間と闘っていた。
ランファンが深手を負い、リン共々追い詰められ命の危機に瀕するが、動かない左腕を自ら切断しなんとかピンチを脱した。

ノックスの手当てを受け、横たわる彼女は左肩から先が無い。

不老不死なんてものを求めるからには、それなりの犠牲は覚悟して国を出て来た。
そう、冷静な顔でリンは言うが。

「……そうダ。一族の運命を背負うからには、覚悟してた筈ダ」

覚悟が足りなかった。
自分より、ランファンのほうが覚悟があった。
彼の言葉に、クライサは何も返さなかった。





「お兄ちゃんとリオは、リンとは初対面だよね。せっかくだし自己紹介しとけば?」

ランファンが寝かされている部屋の外、クライサの提案に三人の男たちが頷いた。
ロイは、ロスの件でリンと接点があったわけだが、実際に顔を合わせたことは無い。
リオとしても、部下を無事に逃がしてくれた礼はしたいところだろう。

「国軍大佐、ロイ・マスタングだ。君の話は聞いている。シンの皇子だって?」

「シン国皇帝の第十二子、リン・ヤオ。医者を手配してくれて感謝すル」

続いてリオが名乗り、人懐っこい笑顔を見せる。
リンとロイが握手を交わすのを見ていた彼だが、隣でクライサが物凄い形相で固まっているのに気付くとギョッとした。

「リンってシンの皇子さまなの!?」

「なんでお前が驚いてんだよ」

「君は知らなかったのか?」

「クライサにも話した筈なんだけどネ」

シンは50からの少数民族が集まってできている国家で、その各民族の首長の娘が皇帝の子を産む。
リンの母親は、ヤオ族の代表として皇帝に嫁ぎ、リンを産んだ。
彼は皇帝の第十二子にあたる。

そして今直面しているのが、相続権の問題だ。
皇帝は病に臥せっており先は長くない。
生きているうちに自分の一族の地位を少しでも上げてもらうため、リンは『不老不死の法らしき物』を持ち帰ろうとしているのだそうだ(どうせ先は長くないのだから、一時的に喜ばせてやればいいのだと考えているらしい)。









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