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そこに、突然金髪の女性が運転する車が乱入してきた。
彼女は手にした銃をスカーに向け発砲し、その銃弾は彼の左足を貫通する。

「早く乗せて!逃げるわよ!」

そう呼びかけられて、リンはグラトニーの重い体を持ち上げ、車の後部座席に乗せる。
女性の正体に気付いたエドワードが呼び止めようとするが、クライサが彼を制した。

リンたちを乗せて走り去った車、それを運転する女性の正体はホークアイだ。
だが、今は憲兵たちが見ている。
無関係を装うようアルフォンスにも告げ、それを見送った。

「大佐はバカだけど信用はできるよ。後で情報が入るのを待とう」

「……クライサ……」

「お前、大佐のことそんな風に見てたのか…」

それより今はやるべきことがあるだろう、と少女は駆け出す。
向かう先には、撃たれた足を引きずるスカーの姿。
一気に距離を詰め、握り締めた拳で相手の頬を殴りつけると、すぐに反応したスカーは足元の地面を破壊した。

「っと!」

素早く身を引き、エドワードたちの近くまで戻るとクライサは声を張り上げる。

「捕まえるよ!エド、アル!!」

「うん!!」
「おう!!」

彼には、ロックベル夫妻殺害やその他諸々の件で、出る所に出て裁いてもらわねばならない。
三人それぞれに両手を合わせ、錬成体勢に入ったその時、何かを感じ取ったクライサが素早く身構えた。

「!」

何の前触れも無く勢いよく飛んできたそれを、交差させた両腕で受け止める。
それが離れてから確認すると、飛び蹴りで向かってきたのは小さな少女だった。
彼女は軽やかに地面に着地し、独特の構えでクライサたちに対する。

「無事ですか、スカーさン!!」

長い黒髪の小さな少女(異国の者だろうか。訛りがある)、そしてその足元で猫にしては小さい白黒の生き物が彼女と同じポーズを取っている。
予測のつかない展開に対応に困るクライサだが、後方の憲兵たちも困惑しているようだった(なんか少女とエドワードも言い争い始めた)。

「わが恩人の下僕さんに、寄ってたかって何をするんですか、この豆男!!」

「んだと、この豆女!!」

スカーの仲間だろうか(恩人の下僕?)。
だが少女は、どこからどう見てもクライサたちより小さな子供。巻き込まれたくないなら退いたほうがいい、と憲兵たちは彼女に声をかけるが、少女は聞く耳を持たない。









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