三つ子のお兄ちゃんといけないこと7


 シャワーを浴び身体を綺麗にしてからベッドに腰掛けた。すみれを呼び寄せ足元の床にクッションを置き、そこへ座らせる。梓と棗にはなるべく遠くから見ておくように頼んだ。棗が我慢できず口出してきたらどうにかして、と梓に目配せすることも忘れてない。よし。

「じゃあ……お願い」

「……うん」

 下着から自身のものを取り出すとすみれは目を丸くする。あんなに身体を繋げていても、これを近くでまじまじと見るのは初めてらしく驚いた様子だ。

「……大きい」

「え、あー、でも、俺のは普通だと思う、っていうかいつもこれすみれの中に入れてるし…… 」

「……っ」

 ぼそっと呟いたすみれの感想に動揺して馬鹿真面目に返してしまった。後悔してからではもう遅く、顔を真っ赤にしたすみれが視線を泳がせている。

「ご、ごめん!」

「ううん、ちょっとびっくりしただけ……えっと、舐めればいいんだよね……?」

 すみれは恥ずかしそうにしながらも決心したように目を合わせてくれた。上目遣いの破壊力が半端ない。首を傾げる仕草もたまらなく可愛い。それだけでも下半身は情けなく反応する。

「そう、舌使ったり口に含んでみたり……すみれのやりやすいようしていいから」

「じゃあ……失礼します」

 やけに他人行儀な台詞が可笑しくてにやけてしまった口元を隠しつつ、おずおずと手を添えて亀頭へ舌を這わせたすみれの髪にそっと触れた。撫でると気持ちよさそうに目を細めて、でも一生懸命に舌を使ってくれる。

「……じょーずだね、慣れてきたら咥えてくれる?」

「……うん」

 舌でちろちろと先だけを舐めていたのを、すみれは自分が言った通りに咥え始めた。小さな口、拙い動き、生温い感触。そして妹にこんなことをさせているという背徳感、全てが快感に繋がっていく。

「……やばいな」

「つば兄……気持ちいい?」

 不安そうに問い掛けるすみれとまた目が合う。聞かずにはいられなかったらしい。唇が濡れて光り、手には自分のものが握られている。そんな異様な光景にぞくぞくとして眩暈がした。

「……つば兄?」

「めっちゃ気持ちいいよ、そのまま続けて」

「うん……」

「……咥えながら舌も使ってみ」

「ん」

「そう、あと吸って、手も動かして」

 可哀想かな、とも思ったけれど従順にしたがうすみれに止められるはずもなく。時々確認するような上目遣いがさらに嗜虐心をくすぐった。

「奥まで咥えんの……はちょっと無理だよな」

「……やってみる」

「いやいいって、すみれ」

「……んっ……ん、ごほっ」

「ちょ、無理するなって! ごめん!」

 頑張って喉の奥まで咥えようとしたらしく、むせ込んだすみれを梓と棗がすごい顔をして見つめている。怖すぎる。
 背中を摩って落ち着かせたあと、すみれの泣きそうな顔で嗜虐心なんか全て吹っ飛んだ。初めてで全くやり方が分からないこの子に自分は何をしているのだろう。

「……ごめんなさい」

「なんですみれが謝んの、俺こそ無理言ってごめん。手を動かして上の方だけ舐めたりしてくれればいいから」

「……うん、こう?」

「そう、あともっと強く握っても大丈夫」

「痛くない……?」

「痛くないよ」

 手で扱いてもらって、先端の方を咥えながら舌も使ってもらう。喉の奥まで入れて苦しい思いをするよりもこれの方が断然いい。すみれもだんだんコツを掴んできたのかリズムよく手を動かして上手く舌を使えるようになってきた。

「……すみれ、気持ちいいよ」

「……ん」

「は、やばい……」

 手と舌の動きが激しくなった。すみれの頭を撫でるのも忘れて快感に集中してしまう。出す前に口から離さなきゃ、ティッシュも用意しなきゃ、と思うのに動けない。もう限界だと思ったとき、肩をつかんで身体を離そうとしたけれどすみれは頑なにそれを拒んだ。

「ちょ、すみれ、待って、出るってば」

「……っ」

「たんま、もういい」

「ん……っ」

「え、ちょ、すみれっ」

 間に合わなかった。強い快感に耐えきれず射精をする感覚。いつもより長く続くこの感じは量が多いことを表していた。すみれはそれを嫌な顔一つせず口の中で受け止めている。

「すみれ、ちょっと、それ出して! ティッシュティッシュ!」

「椿後ろ、いいよ僕が取るから」

「オマエなんてことしてんだよ……早く吐き出せ」

 梓が渡してくれたティッシュを数枚重ねてすみれの口元に持っていく。でもその口を開けようとはしなかった。嫌な予感がする。

「いや、すみれ、飲まないでよ……?」

「……ん」

 にっこりと笑ったすみれの喉からごくん、と飲み込む音がした。もちろん梓も棗も気付いて怖い顔になる。

「すみれさん……ナニシテルノ」

「ちゃんと飲んだよ? 美味しかったよ、お兄ちゃん?」

「いや! 飲まないでよ! っていうか何その台詞! 俺怒られるからやめて!!」

「……だめだったの?」

「だめっつーか」

「ごめんなさい……つば兄のゲームの女の子、みんなこうやってるから飲むのかと思った……」

「え、いや! ねえ! それ誤解! すみれにエロゲとかやらせてないからね!? 梓!? ちょっと怖い、何それ、やめて!! ごめんってば!!!」

 すみれの爆弾のような言動のあと梓にこってり絞られることになったのは言うまでもない。でも断じてエロゲーなんかやらせてない。最終的にすみれはつば兄が留守の時間にこっそりとやりました、と白状して謝りながらもどこかすっきりとした顔でにこにこと笑っていた。