問いかけに後者を選んだなつ兄はまた口元を緩めてこう言った。
「久しぶりに一緒に入るか?」
「……なつ兄のえっち」
「まあ何もしないとは言いきれないから間違ってはないな」
「入らないから!」
ばか! ともう一度叫んでから浴室の方へ押しやった。昔はよく一緒に入ったし、身体を初めて繋げたときも歩けなくて入れてもらった記憶がある。でも、お互いの身体を隅々まで知っていても恥ずかしいものは恥ずかしい。入ってる間にご飯を温めておくからと言うとなつ兄は残念そうな顔をした。そういうところがなんというか、ちょっとだけ、ずるい。
「これでいいかな」
カレーを温めてサラダを冷蔵庫から出して、凝ったものを作らなかったからかすぐに準備は終わってしまった。でもなつ兄が出てくるまでぼうっと待つ時間は嫌いじゃない。擦り寄ってきたつばきとあずさと遊んでいると後ろからドアの音が聞こえて、お風呂から上がったのだと分かる。
振り向くとお風呂上がりで、上半身裸のなつ兄が立っていた。
でも振り向かずに遊びに夢中になっているふりをすれば後ろから伸びてきた逞しい腕に抱き締められることをわたしはよく知っていた。