たぬき寝入り




「あ、もうこんな時間」

窓の方をみると、いつの間にか日が落ちて外はすっかり暗くなっていた。


日曜日の今日、お昼で部活が終わったリョーマがまっすぐ家に遊びに来た。

特に何をするわけでもなくマンガ読んだり、パソコンいじったりお互い好きなようにして過ごしていたら、外はいつの間にか暗くなっていて。


「リョーマそろそろ帰ったら?」
「……」


私に背を向けてベットに横になっているリョーマに話かけるが反応がない。
さっきまでつまんないとか言いながら少女マンガを読んでいたのに。


「寝てるの?」
「……」


リョーマの顔をのぞきこんで見ると、大きな瞳が閉じられ「スースー」と寝息が聞こえる。

心なしかその寝息がいつもより、浅い。

もしかして、とリョーマの脇腹をつついてみる。


ツンッ

「ビクッ」

ツンッ

「ビクッ」


脇腹をつつくと、良い反応が返ってきて。


「…リョーマ起きてるんでしょ」








「…起きてちゃダメなの?」
「え?うわっ!」


突然目を開けたリョーマと目が合う。そのまま腕を引っ張られて、バランスを崩しリョーマの上に乗ってしまった。

すぐ起き上がろうとしたけど、腰に手を回され動けない状態。


「なんで寝たふり?」
「だってつぐみ先輩が帰れって言うから」


拗ねたようにリョーマが言う。彼女兼先輩としてはあまり遅い時間に返す訳にはいかない。なにせ、こいつは可愛い(生意気なところは抜かして)。だから変なおじさんに連れていかれるのではないか先輩は心配なのですよ。


「もうこんな時間だよ?帰らないと」
「ヤダ」
「は?」
「今日泊まる」
「いやいや、明日学校あるk『もしもし?今日友達の家泊まる。うん。明日の朝帰る。じゃ』……。」
「今日泊まることになったから。よろしくね、先輩?」

とニヤリと笑うリョーマは本当に可愛くない。

「はぁ」
「まだまだっすね」
「うるさい」
「…」
「ギャ!!」

なにがまだまだっすねだよ、ワガママっ子め!とリョーマの上でジタバタ抵抗してみせると、思いっきり噛じられた。
悔しいけど、リョーマが泊まることに少しテンション上がっている自分がいるのは確かだった。










「ごはんにします?お風呂にします?それとも先輩でいいっすか?」
「はい、今すぐ帰ってくださーい」




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