ヤス
「終わった話はやめような?」


 思わずまた、返した言葉にため息が混じる。しかし優しく、かつ丁寧に対応できたはず…なのに夏樹は…


夏樹
「ホントに?」


 俺の顔を、疑わしい表情で見ている。


ヤス
「………は?」


 拍子抜けしている俺。



夏樹
「ホントに終わった話かな」

ヤス
「???」
(何言ってんだ…?)



 別れてから随分と時間も経ってるし、《ユウちゃん》にだって今頃は別の相手くらい居そうなものだ。

 それなのに、俺に過去を振り返れと言わんばかりの言葉を投げかけられる。

 これは困った。納得してくれない。

 おかげでまともに言葉を返せないまま、夏樹の言っている意味を探すハメになる。

 そんな俺を、疑わしい眼差しのまま見据えて、夏樹は更に続けた。


夏樹
「この前、一年の子に告られたでしょ」

ヤス
「!…えっ!?なんで知ってるの!?」



 思わぬ尋問に声が裏返る。



夏樹
「しかも断ったよね?」

ヤス
「う…ん」

夏樹
「その子も、その前の子も、その前の前の子も…みぃ〜んな可愛い子だったのに、みぃ〜んな断ったよね?」

ヤス
「??」

夏樹
「…どうして?」

ヤス
「…」


 俺は言葉に詰まった。

 そして夏樹は、それを見逃さなかった。




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