例えばあの頃。

 互いの相手に誤解されていたかどうかなんて、この際どうでもいいことで。単純に俺の心変わりが原因なのは、言うまでもなく…まぁ、それ以上は言えないけど。


 夏樹のせいなんかじゃない。

 それだけは強く言うことにした。

 よくある話だ。


(…っていうか)


 夏樹が不機嫌になったのが手に取るようにわかるんだけど、こういう時はそっとしておくのが一番だよな。

 もうこんな中途半端な関係が長々と続いてるんだから、こんなことは大した事件でもないし。



(伝えられないもどかしさ…ってのは普通にあるけど…)




 それにしても、なんだってこんな眠気を誘う映画を観たがったのか…俺はやっぱアクション系が観たかったかなぁ…とか、くだらない感想が頭を過る。


 まあ、仕方ないか。

 とはいえ少し眠気にやられてきたんだよな。

 そんな俺に向かって、夏樹がまた言うんだ。



夏樹
「…ごめんね」



 もう謝るな…。


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