夏樹 「ユウちゃんのこと………ごめんね?」 ヤス 「………」 たっぷりと間を空けて、柔らかく透き通る声が俺に向かって謝罪した。 おかげで、さっきまでのドキドキが消し飛んでしまった。 ヤス 「…またその話?」 俺は溜め息を我慢仕切れないまま、夏樹の言葉に返事をする。 ヤス 「蒸し返したらダメでしょ?つーか夏樹のせいじゃないし」 夏樹 「……だって」 俺の言葉が不服だったようで、夏樹は途端に口を尖らせて画面に目線を戻してしまった。 (…まったく) そんな風に可愛く拗ねられても、毎度の事ながら俺は返事に困るわけで…。 あれから随分月日が経っているというのに、どうしてそんなに気にするのか不思議で仕方ない。 《ユウちゃん》 約2年前に別れた、俺の元カノ。 夏樹と出逢った頃に付き合っていた相手だ。 因みに、当時の夏樹は俺の親友と付き合っていた。 俺たちが出逢ったのは中学の頃で、なんだかんだ4人でよく遊んでいたっけ…。 ただ…。 俺の親友…つまり夏樹の元彼は、いい奴なんだが少しクセのある奴で、よく夏樹を悩ませた。 そんな悩みを打ち明ける相手として、何故か夏樹は俺を頼った。 そのせいで俺と《ユウちゃん》が終わったと考えているらしく、今になってもこうして、何の脈絡も無く蒸し返す。 もう、二年も経ってるのに…。 prev/next ←目次 ←home |