夏樹
「ユウちゃんと一緒に居るの?」


『お・・・夏樹か。ひさしぶり〜』

夏樹
「あ、うん、久しぶり」


『ユウちゃんなら此処にいるぜ』

ユウ
『ぷっはは!何キンチョーしてんだよっ』


『う、うっせーな!俺だってこういうとこあんだよっ』

夏樹
「ごめん、司くん。ユウちゃんと話したい」


『・・・俺とは?』

夏樹
「うん。今度ね」


『ふぅん・・・ユウちゃ〜ん、フラれた〜』

ユウ
『ざまぁ。くふふっ・・・あ、夏樹?』

夏樹
「うん・・・」

ユウ
『えーっと・・・さっきは、ごめんね?アレ、嘘だからね?』

夏樹
「うん」

ユウ
『夏樹が泣くようなことにならないと、アイツ動かないんじゃないかって、司が言うからさぁ』

夏樹
「うん」

ユウ
『二人でちょっと小芝居したんだけど。すぐわかった?』

夏樹
「ちょっと、騙された。ふふっ・・・けど、今の会話の内容でなんとなく」

ユウ
『ごめんね。いっぱい泣いたでしょ』

夏樹
「うん・・・でも、嘘だってわかって安心したよ」

ユウ
『そっか・・・ヤスとはうまくいった?』

夏樹
「うん。えへへ」

ユウ
『デレんな。ははっ・・・あー、とりあえず司とも話してやってくれる?さっきからアタシの周りウロウロしてっからウザくてー』

夏樹
「え?・・・えー・・・どうしよう」

ユウ
『あははっどうしよーだってー司ー』


『はぁ?おっまえいい度胸だな夏樹』

夏樹
「だ、だって司くんは、わたしじゃなくてヤスと仲直りしたいんでしょ?」


『・・・あ。そうだった』

ヤス
「・・・」


 司もユウちゃんも声がデカいんだよな。丸聞こえだ。おかげで、自分がまんまと作戦に乗せられたとわかってしまった。

 相変わらず、夏樹が奪った俺の携帯電話は戻ってこない。

 漏れ聞こえる会話が楽しそうで、夏樹が笑ってるから、これはこれで、もういいかなとも思うけど。


夏樹
「ひゃっ!?」


『あ?』

ヤス
「いいよ。司。仲直りしよう」

夏樹
「や、ヤス?」


 夏樹を後ろから抱きしめる形で会話に参加する。

 俺がハッキリしないせいで夏樹を泣かせてしまったのなら、これからはもう少し努力しなきゃならないもんな。


ヤス
「とりあえず、しばらく邪魔しないで。あとユウちゃんにもよろしく」


『はいはいわぁーったよ。あ。ユウちゃんから伝言』

ヤス
「ん?」


『夏樹を泣かしたらコロスってよ』

ヤス
「了解」


『じゃあな〜』

ユウ
『夏樹、あとで電話してねー』

夏樹
「う、ん・・・」


 通話の切られた携帯電話はもう床の上。

 情けない男はもう卒業だ。

 男らしく潔く、これからはもう、悲しい涙は流させないって誓うよ。






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