「つーか、そんなに言うなら元サヤにでもしようか?」

ヤス
「・・・」


 いやホントにな。

 それが出来たら良いと思うよ俺も。うん。



「どうする?ほら、答えろよ」

ヤス
「・・・こ」


「今度は泣かすなよーとか言いやがったら殴るけど」

ヤス
「お・・・!」


 当然だ。何のために別れたと思ってんだチキショーめ。



「いいか?たとえ俺が戻りたいって言ったところで、夏樹は幸せじゃねーぞ」

ヤス
「・・・なんで」


「どうせまた泣く。まあ俺は全然アリだけどな」

ヤス
「・・・な、じゃあなんで別れたんだよ」


「そんなん夏樹に聞いたほうが早いんじゃね?」

ヤス
「・・・も、もしかして」


「・・・」

ヤス
「・・・お前も、俺と夏樹の噂、信じて・・・?」


「は?」


 残念。そう来たか。


ヤス
「そういえば夏樹も、未だにあの噂引き摺っててよく蒸し返すんだよな・・・」


「・・・」

ヤス
「そうか、それでお前に疑われて・・・」


「違う」

ヤス
「だってそれなら、俺の方が悪いじゃんか」


「待て。違うっつーの」

ヤス
「どうしよう、俺のせいで夏樹・・・」


「ちげーってんだろコラ」

ヤス
「いてっ!・・・へ?」


 本日二回目の蹴りが入ったところで、ようやく我に返ったヤスは俺の表情に気づいてこちらに目を向けた。



「あのな?そうじゃねーんだよ」

ヤス
「???」


「あんな馬鹿げた噂、俺が真に受けてるなんて本気で思ってんなら絶交すっぞ。つーかお前、マジでアイツが未だに俺に惚れてるって思ってんの?」

ヤス
「・・・」


「あり得ねーからな。恨まれる事はあっても、アイツから俺への未練なんかあるわけねー」

ヤス
「・・・」


「でもな、俺は一応、引き摺ってんだぞ。なんでか知んねーけど」

ヤス
「・・・」


 さて、どう説明するべきか。

 誤解を解くにはどう言えば・・・・。


 とりあえず、ヤスの方に身を寄せ、周りに聞こえない程度に声のボリュームを落としてみる。



「仕方ねーから言うけど、ここだけの話な・・・」

ヤス
「・・・?」


 誘われるようにこちらに身体を寄せたヤスの耳を摘まみ、囁いてみた。

 さて、どう出るかなコイツ。




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