「はぁー。食った食った」

ユウ
「…臭い」


「なんっだよお前。さっきまで旨い旨いつってくってたろ豚骨」

ユウ
「アンタが勝手に注文したんじゃん!…まあ、旨かったけど」


 数時間後。

 酷い豚骨臭を漂わせてラーメン屋から脱出。外に出るとこれまたニオイがよくわかるから堪らない。

 そういえば何かアタシに頼みたいことがあるとか言ってたのに、結局その説明は無かった。とにかく麺が伸びないうちにと、2人してズルズルラーメンをすすっていただけだったのだ。


(つーか豚骨ラーメンって、カロリーいくつだっけ…?)


 ちゃんと調整しないと太りそうで不安だ。



「で?お前ん家って、どっちだっけ?」

ユウ
「はぁ?こっち」


「んー」

ユウ
「…」


「…」


 あれ?なんだこの会話?


ユウ
「待って」


「んあ?」

ユウ
「アンタまさかアタシを送るとか言わないよね?」


「送るから方向聞いたんだろ」

ユウ
「キモいし要らないし」


「うっせーな、まだ話もしてねーのにそのままバイバイしてどうすんだよ」

ユウ
「…話するためにラーメンまで付き合ったのにまだ終わんないの?」


「つーかなんでそんなに俺と居るのが嫌なんだよお前。おもしれーな」


 既に日は傾いて辺りは薄暗い。

 もしかしたら昼間のように不審者にだって会うかもしれない。

 例えばコイツがそれを心配してくれているのだとしても、司からこういう対応をされるのは、やっぱりちょっと慣れなくて気持ちが悪い。


(良い奴は良い奴なんだけどなぁ…)


 コチラの不平など笑い飛ばし、すぐ目の前を歩く司から投げかけられたお願いは、素直になれないアタシの…本心からの望みを叶えるものだった。



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