??
「うおりゃー!!!」


 …とかなんとか。

 若干ふざけた叫び声と共に目の前の不審人物に蹴りかかったのは、見覚えのありすぎるチャラい銀髪。

 それなりに攻撃力はあったらしく、警官姿の不審者は勢いよく地べたに転がった。

 転がった拍子にその手から解放されたアタシの荷物を奪い取ると、チャラい銀髪が乱暴にアタシの腕を引っ張り、その場から逃亡した。









ユウ
「助かった。ありがとね司。つーか何気に久し振りじゃん」


「おー久し振りっつーかよ、おっまえボーっとしすぎじゃね?」


 逃げ込んだのは近くにあったカラオケボックス。

 さっきまで居た合コン会場とは別の場所だけど、なんだかデジャブ。まるで外に出してもらえない人間みたいじゃないか。

 とりあえず時間つぶしのために受付を済ませてボックス内へ。

 まったくなんだってこんな奴と…という不満は、今は封印しておこう。


ユウ
「はーあ。せっかく抜け出してきたのになー」


「あ?」


 ボックス内のソファーに腰を落とし、なんとなく愚痴。

 最早歌うことしか考えていない司は、タッチパネルを操作しながら此方も見ずに返事をした。


ユウ
「無理矢理合コンに参加させられてたんだよマジ疲れる」


「そんでサボり?暇だなーお前の学校の奴ら、ふはっ」

ユウ
「そういうアンタは何してんだっての」


「俺?俺はこれから登校すんだよ。真面目だろ?」

ユウ
「は?どこが。どうせ女とイチャコラした帰りでしょうが」


「正解!つーかお前、男子校ナメんじゃねーぞ?日々女っ気無しっつーのは超絶つまんねーんだからな」


 アタシの言葉に反応してコチラに顔を向けたのは良いとして。なんなんだそのドヤ顔。そして指を指すな。


ユウ
「知るかよ」


「そりゃもうお前、まるで僧侶だ僧侶!禁欲!禁欲!耐えらんねーってマジで!」

ユウ
「はいはい煩いっつの」


「そういやお前んとこも女子高だっけ?ってなわけでユウちゃん。せっかくの密室だし?俺とどうよ?」

ユウ
「あー…じゃあ良い具合におっ起ったあたりで切り落としてやっから出してみな」


「こっ!恐いな!」

ユウ
「うっせーなもー…アンタなんか去勢したぐらいで丁度いいんだよ」


「去勢って。されてたまるか。まったく相変わらずつえーのなー、ふははっ」

ユウ
「つーか金勿体ないし、歌っとこうよ」


「お前真面目だなー」

ユウ
「お前は馬鹿だなー」



 会うのはいつ以来だろうか?相変わらず調子がいいというか馬鹿というか。

 嫌いなわけじゃないけど、油断できないのはどの男とも同じ。

 とりあえず助けてもらったわけだし、カラオケくらい奢ってやろうかな。





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