「ちょっと聞きたいんだけどさ」 3人の中のリーダー的な雰囲気の人が、口を開く。 荷物の重みに耐えながら、なんとかそれに応えようと姿勢を正すと次の言葉が降ってきた。 「南さんって、ヤスと付き合ってんの?」 出た。お決まりのパターン。 一緒にいることが多ければ、付き合ってることになるのか…だったら、そゆことにしちゃおうか? なんて…少し黒い感情を抑えながら、とりあえず質問に答えなくちゃ…。 夏樹 「…安心して」 わたしはそう言って、完璧な笑顔を作る。 そして、いつもの台詞。 夏樹 「ヤスはわたしになんか興味ないから」 この台詞を言うの、何度目かな…。 毎度のことながら、言ったそばから気持ちが凹む。 作り笑顔ばかり器用になって、どんどん自分が嫌になる…。 「そっかぁ!」 作り笑顔のままのわたしの言葉に、飛びきり安心した笑顔で反応する彼女たち。 わたしの気も知らないで…。 「わかったぁ!ごめんねぇ?忙しいのに呼び止めちゃって〜」 そう言うと彼女たちは、談笑しながら、わたしの横を通り過ぎていった…。 っていうかさ…手伝ってくれても良くない? ホントに重いんだけど…。 prev/next ←目次 ←home |