あいつはいつもアリトの野郎しか見ていない。
俺がどんなに好きだ好きだと言っても全く振り向かない。アリトなんかより俺の方が頭良いし、デュエルつえーし、ルックスだって俺の方が上だ。
人間界で深い傷を負ってバリアン世界に帰ってきた時は、これでアリトから名前を遠ざける事が出来たと思いほくそ笑んだが、全く逆だった。
名前は眠ったアリトの側から離れようとしなかった。

「いつまでそこに居るつもりだ?そこに居ても彼奴は起きねーぜ?」

「大丈夫だよ、きっと起きてくれる」

いつまでもそこに居座る名前に話し掛けると泣きすぎて真っ赤に腫れた瞼を細めてニッコリと笑った。
なんでだよ、なんで彼奴から離れねーんだよ、なんで俺じゃ駄目なんだよ。


「いつかアリトが目覚めた時、テメェの事がわからなくなってるかもな」

「え?」





聴こえたか聴こえてないかわからない位小さい声で呟いて俺はいつもと変わらない平然とした感じでその場を立ち去ったが、頭の中では名前をどうやって横取りしようか悶々と考えていた。


「あァ、あるじゃねーか手っ取り早い方法が」

消しちまえばいいんじゃねェか、ドンサウザンドの力で、アリトの頭の中から、記憶から、アイツの、名前の記憶を消してやる。
忘れたアリトに何か言われた時名前は泣くだろうか。
泣くだろうなァ?
だーいすきだった奴に忘れられるんだもんなァ?

でも大丈夫だ。
今度は俺が側にいてやる。








「アリト…!良かった…もう目覚まさないかと思った…!」

「誰だお前」





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二万打キリ番
六月様リクエストでアリトの事が好きな夢主でベクター夢でした!

折角のキリ番なのになんか凄く暗いお話になってしまってすいません(´・_・`)
こんなはずじゃあなかったのになぁ…

キリ番リクエストしていただきありがとうございました!!
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