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「大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です。それと、」

「それと?」

「私が泣いていた事は忘れてください」

自分が王子に寄りかかって泣いていた事を思い出すと顔から火が出るくらい恥ずかしい。
即頭の中から記憶を排除しなければ。

「泣いている顔もかわいかったです」

「やっ…」

恥じる事なくハニカミながらそんな事をスラリと口に出すものだから、赤い顔により熱が集中したのがわかった。
この人は苦手だ。


「なんでそんな事すんなりと…」

「ココだけにしか言いませんよ!」

「貴方なんて嫌いです!」

「ええっ」


「と、兎に角忘れてください!」


あたふたする王子に背を向けて、私は小走りで城の中に逃げ込んだ。


stop|stop


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