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久々に花を摘んだ。
どの位外で遊んでなかったのだろう。自分でも覚えてない。でも、きっとあの日からだろう。
摘んだ花をぼんやり眺めていると王子に話しかけられた。

「母国ではどんな花が咲いているんですか?」

「えっと、わからないです。お城の中ではそんなに咲いてなかったので…外に出た事も少ないので」

「その外に出ないのって、町に出たくないのと関係あるんですか?」

「誰にも…言わないですか?私の事嫌いになるかもしれないです」

「言いません!嫌いにだって、なりません!」

「昔…子供の頃に…」

途中で言葉が詰まってしまい俯いていた顔を上げて王子の方をみると酷くびっくりした顔をしていた。
どうしたのかと尋ねようとすると王子は私の頬に手を添えて今度は眉を寄せて悲しそうな顔をした。

「あ、」

「泣かないで…」

「なんで涙が…悲しくないんです、私悲しく…」

「良かれと思って聞いたんですけど、もし嫌な事を思い出させてしまったならごめんなさい」

「本当に悲しくなんか、」

「もういいですよ!話さなくていいです!」


王子は声を少し張り上げて、私の頭を自分の身体に寄せた。
その身体はまだ未発達で小さいのに、なんだか凄く逞しくて大きく見えた気がした。

「貴方の前では他の人の前では、凛と…強くなろうって…決めていたのにっ…」


私の大粒の涙は王子の服にボタボタ落ちて次々とシミを作っていった。


stop|stop


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