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「ココ」

優しくて、聞き慣れた声。
なのに久々に聞いた気のする声に呼ばれ辺りを見渡すと真っ白だった空間には何処までも咲き誇る花畑が現れた。

(誰…)

足元に咲く花に目もくれず、花を踏みしめて声のする方へと歩き出す。
ああ、この声はどなただったかしら?


「ココ、こっちだよ」

今まで歩いていた方向とは真逆、今度は自分の真後ろで声が聞こえた。

「久しぶりだねココ」

「にい、さま」

「ああ、振り向いちゃ駄目だよ、このまま聞いて?」


「ココは今幸せかい?」

「……」

「そうか、幸せみたいでよかった」

「私に幸せはいりません、兄様から未来を奪ってしまった私には、幸せなんかあってはならないです。」


ハハッ。
背中越しだから顔はわからないけれど、兄様は確かに笑った。
お前らしいなあ、そういうと思ったよ。前と変わらない優しい口調で言うものだから目尻が少し熱くなった。


「ココは幸せになってもいいんだぞ」


stop|stop


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