「僕は神威大門統合学園に行く」
「えっ」
「アルテミスが終わったら」
「なんで急に…」
神威大門に行こうと思っていたのは大分前からだ。でも中々言いづらくて結局今日まで言うことが出来なかったのだ。
カナトと出会ったのは僕がはじめて大会で優勝した時だからもう大分前になる。カナトはアイドルというやつで、幼いながらその大会のイメージガールをしていたのがきっかけで出会ったのだ。それからというもの僕と僕の友達数人とで何回かLBXで遊んでいたのだが、その後自分の口の悪さで離れていった友人は数知れず、唯一離れていかなかったのがカナトだ。鈍感なのか、鉄メンタルなのか。
「まっまた、会えるよね…」
「卒業するまで帰れないから無理だ」
「〜〜〜〜!!!!」
やはり想定していた通りカナトが泣きそうだ。少し俯いていて表情はわからないが泣くのを堪えているのは一目瞭然。
本当は僕だって会えなくなるのは悲しいが、こればかりはどうしようもない。一緒に入学する、というのもひとつの案だが神威大門の入学条件は公式大会で3回以上の優勝が必須条件だ。カナトは優勝どころか大会に出場した事すらないし、そもそも本職がアイドルなので仕事だってあるだろう。
「わっわたっわたしも…そこに行く…!」
「神威大門の入学条件は公式大会で3回以上の優勝が条件だ、カナトは大会に出たことも無いだろ」
そう告げると半泣きでポケットからCCMを取り出し何やらカチカチとCCMを操作して、画面を僕の顔の目の前に差し出す。画面には「大会エントリー完了しました。」の文字
「私友達がヒカルしかいないの…!!!大会にもでる…!!!!ヒカルが行くなら私もいく、アルテミスは流石に無理だけど、他の大会で優勝してみせるだから、」
1人にしないで
だからの続きは言わなかったが、なんだかそう言いたいのだろうと思った。
「君は、本当に馬鹿だな…待ってる。」