「遊馬くん初詣行こう!」



なんどこの台詞を壁にぶつけてシュミレーションしたことか。今言い放った台詞だっていつもベッドに寝かせている愛用のウサギの抱き枕に言っている。壁から少しは進歩したつもりだ。
だかしかし、まだ本人に言うには先が長いようで。
でもこのまま毎日練習すれば来年には言えるようになっているかもしれない。


「いや…暇だから初詣行こう、の方がいいかな?うーん…」


何故私がこんなに練習しているかというと、遊馬くんは私の初めての友達だからだ。
つまり正直のところ今まで友達が居なかったから誘い方というものを知らない。
図書館で借りてきた友達の作り方というヘンテコタイトルの本をパラパラめくっていると、珍しく電話が掛かってきた。


画面をみるとそこには九十九遊馬という名前が表示されていた。思ってもいなかった相手からの着信に焦ってついつい切りボタンを押してしまいそうになる。


「もし、もし」


「ココー!今日さ、皆で初詣行くんだけどココも来いよ!」


「えっ!?」


初詣に誘ってもらえるなんて思ってもいなかった。
それと自分も遊馬くんの言う"皆"の中に入れてもらえたことが凄く嬉しくて視界がぼやける。

「う、うんいくっ、!」


「!?ココどうしたんだよ何があって泣いてんだよ!!」


「なんでもない…遊馬くん初詣で一緒に行こうね…」


「?おう!」



誘ってくれてありがとう遊馬くん。あなたは最高の友達です!
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