「悔しいでしょうねぇ」
私の目の前に立っている男はそう言って皮肉めいた顔をしていた。
コイツの本性は知っている。本当はガサツで言葉が使いが最高に悪い。つまりこんなにも気丈に振る舞うのは(本性知ってる私からしたら気持ちが悪い以外の何物でもない)演技なのだ。この似非紳士め。
「あーあ、トーマスもミハエル君みたいにもっと可愛かったらなあ」
「あ?」
私はどちらかというと結構キッパリ言う人で、本音とか直ぐに言ってしまう。そのせいかいつもトーマスを直ぐに怒らせてしまうのだ。でもトーマスのその態度は怒るって感情より嫉妬のように感じる。例えば兄弟のクリスさんやミハエル君の名前を出すと高確率で機嫌が悪くなり紳士モードであっても本性が直ぐあらわれ言葉使いが荒くなる。
機嫌を損ねてしまうのは正直面倒臭いけれど、すぐに嫉妬してしまうトーマスが可愛くて、ついついクリスさんやミハエル君の名前を出して尚かつ皮肉めいた事を言ってしまう。
「デュエルで負けたからって嫌みいってんじゃねーよ」
「だって本当の事でしょう?」
掴んで「お前は俺の周りにいる女の中で一番むかつく」と言い放った。
「あら、嬉しいわ」
「私は貴方の中で一番なのね」