ああ、もう泣くな。



目の前にいる少女を抱きしめた。少女を抱きしめると思っていたより細くて、華奢だから力を入れたら折れそうで…。
そんな弱そうですぐ死んでしまいそうな少女をみると守ってやんねーといけねぇっていつも思う。
まあ今回は守らないといけないと思ったが故にココを泣かしてしまったのだが。


ほんの数分前の話。
廊下を歩いているとココが向かい側からやってきた。手に俺ら兄弟がココに禁止しているはずのカードの束を持っているところを発見してしまったのだ。
ココの格好をよくみたら膝や腕を怪我していて、ついさっきデュエルをしてきたばっかりの様子。


向かい側から歩いてくる俺に気付いてサッとデッキを後ろに隠す。

「おい、」

声をかけると一瞬ビクッと肩が揺れ、それから作り笑いをして「転んじゃった!」と答えた。違うだろ。転んだんじゃないだろ。何で嘘つくんだよ、トロンになんか言われたのかよ、それともそんなに俺が怖いのか?


後ろに隠していたデッキを持っている方の腕を強く前に引っ張ると俺の目の前にココのデッキが現れたので俺はココの手からデッキを奪い床に投げつけた。


「デュエルすんなっつたろ!!」


ついカッとなり大きな声をだすとココは目から涙をポロポロ流し始めた。
(あ、やってしまった。)
俺はいつもこうだ。
馬鹿だから頭で考えるよりも先に行動にでてしまい、結果相手を傷つけてしまう。XやVのように穏やかに物事を運ぶことができない。
仕方ないからココを自分の方に抱き寄せて震える背中を優しくさする。


「お前は俺らの大切な妹だ、お前だけはトロンの復讐駒になるな。だからデュエルはすんなよ」



最初からこうゆうふうに言えたらな。馬鹿な兄貴でごめんな。


俺はココのおでこにキスをした。
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