びちゃびちゃっと白い液体が飛び散った。私はそれが服に付いた瞬間、もう駄目だと確信した。
明日はカイトの誕生日。
甘い物が好きかどうかわからないが、普段疲れてるだろうから甘いものを作ってプレゼントしようと考えた。
作ろうと思ったのは苺ババロア。早速材料を買い集め、カイトの家で作り始めた。
「えっと、まず苺を潰して、と」
料理本とにらめっこしながら苺と格闘して数分、苺は上手い具合に出来た。
さあ次は生クリームだ。生クリームのパックに空気を入れるようにしていれたらいいと書いてあったので真似てやってみようとするとやり方が下手だったのかびちゃびちゃとクリームが周りに飛び散ってしまった。
びっくりした拍子に尻餅をつき、生クリームが入っているボールがひっくり返ったそしてべちゃりと私の服に付いたのだ。
ボールが床に落ちる音やなんやかんやで心配になったのか私服姿のカイトが血相変えて部屋に入ってきた。
「ココ、大丈夫か!!」
「カ…カイトぉ…!!」
カイトの姿を見たらジワリと涙が出てきた。カイトは片膝を床につけてしゃがみこみ、私の頭を撫でて「怪我は無いか」と優しい顔で言った。
「ごめん、なさい…私失敗しちゃった」
「大丈夫だ、それより早く着替えろ」
「カイトにプレゼントあげれなかった…」
「気持ちだけで嬉しい。ココが怪我してなくて良かった」
怪我してたらプレゼントどころじゃないだろ?そう言ってフッと笑った。
それからカイトは私の頬に手をあてて顔に付いた生クリームを指で拭き取った。