ちゅっと聞こえるリップ音。
トロンは私に愛してるといっぱい言いながら目尻やおでこ、頬と色々な所にキスをする。
沢山愛してると言ってもらっているのに凄く悲しくなってしまう。目から一粒涙がこぼれるとトロンは私の顔を凝視する。



「あれ?どうして泣いてるの?」



嬉しくて泣いちゃった?アハハっとわざとらしく笑う彼の笑みをみると私の大好きだった優しい笑顔のバイロンさんはどこへやら。


「トロン、止めて?キスしないで、お願い」


「どうして?僕は君が愛したバイロンだよ?」


「貴方は、私が好きなバイロンさんじゃない!」



トロンはまたわざとらしく笑い私の首に腕を巻き付けて抱きつく。そして耳元で「なら僕をこんな姿にしたフェイカーを恨みなよ」と囁いた。
それはまるで悪魔の囁き。


「ココ、協力してくれるよね?」



静かに頷くとトロンは私をぎゅうっと抱き締めていつものように「流石僕のココ、愛してる」と言った。
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