「おい、ばか」

いきなり馬鹿呼ばわりとは何事か。
そう思っていると手を掴まれ現実に引き戻される。なんだと手を掴んだ人物を見ると実に不機嫌そうな顔でわたしを見下ろしていた。

「何さ」

話しかけんなオーラムンムンでランサーを見ると更に不機嫌そうに皺を寄せ、口を一文字に結ぶ。何だとまた口を開こうとしたら指先がぬるりと生暖かい感触に包まれた。自分の指先を見るとランサーに掴まれていて、指先を、親指を口に含まれていた。

「…」

コイツ、何やってんだ。
因みに言うとただ今家でテレビを見ていた。まあ内容なんか頭に入ってないけれど。なのになんでいきなり指を舐める。謎だ。そんなわたしにお構いなしにランサーはわたしの指を口に含んで乱暴に舐めていく。時折、痛い…?

暫くするとランサーは最後にわたしの指をぺロリと舐めてから離した。

「なあに指かじってんだ」

血ィ出てきてんだろ。
と言われて初めて気付いた。成る程たまに痛かったのはそういうことか。自分の指を見ると随分とふやけて白くなってしまっていた。濡れている指を適当に服で拭いて指を確認。問題なし。

「無意識」

あー、と言ってまた指を口に含もうとしてしまった。すると突如引っ張られなんだと大人しくしていたらランサーに後ろから抱きしめられる状態でテレビの方を向かされた。手はしっかりとまあ握られております。

「少し黙ってろ」

今良いトコなんだからよ、と言われテレビ画面に目を映すと確かに面白い所だったのであたしも黙ってテレビの視聴者になることにしました。

「ランサー手熱いよ」
「文句言うな。お前が指かじって血ぃ出すから悪いんだろ」

あたしの手を握ってるランサーの手を握り返すと少し強めの力で握り返されたのが凄く嬉しかった。





暫くすると番組も終わり、ランサーに解放を促す。
しかし彼は一向に手を離す気配を見せずに何やら黙りこんでしまった。テレビは俗に言う昼ドラというものが始まる。開始そうそう女性のヒステリックな声が聞こえ驚いた。

「離さないの?」
「ん?ああ、」

名残惜しげに手を離され、なんだかなあという気持ちになった。いや離してほしいって言ったのはわたしなんだけど。

「なあ」
「なぁに」
「シようぜ」

は、と。
素っ頓狂な声が出た。
何をいきなり言い出してんだこの男。するって、いや意味はわかるけどまだ昼間だし…ってそこじゃないだろわたし。

「良いだろ?」
「嫌だって言ったら?」
「痛くする」
「……良いよって言ったら?」
「優しくする」

だそうだ。もうこの男の中でする事は決まっているようだった。わたしに選択肢なんかないじゃないか。それに今はまだ後ろから抱き着かれてる状態だから、逃げようにも不可能だ。謀ったか。後ろから伸びてくる手はいきなり下半身へと向かった。こんな日に限ってスカートとは、ああもう悔しい。

腿を撫でられぞっとする。その無骨な指先で下着の上から割れ目を撫でられて熱い吐息が漏れた。何度も往復する指先に恥ずかしながらきゅう、と疼く子宮ととろりと溢れる熱い蜜に溜息を吐く。随分とこの男に反応するようになってしまったものだ。


「…で?どうすんだ」


もう断れないと知っていて尚わたしにきくのだからタチが悪い。ちょっぴり悔しいから意地悪で、やだ、と言った。

「へえ。なまえ様は痛いのを御所望ですか?」
「うるさい、ばか。もっかい言ってあげる。やだ」
「わかった」

がり、と下着の上から立てられる指に声が漏れそうになる。それでも与えられるのは軽い刺激で、気持ちよくはなれない。ただひたすらもどかしいだけだ。
後ろから伸びてくる手はこれまた下着の上からわたしの胸を揉み始めた。宣言通り行き成り強く揉まれてちょっぴり後悔する。あ、これランサー本気だ。
それでも簡単に折れてやるのは悔しい。指を噛んで声を堪える。がぶり、と容赦なく首筋を噛まれてひ、と声が出た。食べられるんじゃないかってくらい強く噛まれて、痛い。ぐり、ときもちよくはなれないままランサーの指の先だけがナカに入ってきた。あろうことか、まだ指を下着の上。つまり、無理矢理下着ごと、ほんの少しだけいれてきたのだ。

「あーあ、ぐちゃぐちゃ」
「…っ」

布が擦れて痛い。お構いなしにどんどん奥に入れようとするものだから、もっと痛い。けれどその布一枚が邪魔となって、刺激という刺激を与えてくれない。ランサーから逃れようと自然と体が前のめりになる。無論無意味。クツクツと楽しそうな声が耳元から聞こえた。
「かーわいい」
「ひっ、」

下着の上からでもわかる程ぷっくりとした胸の頂を摘まれ声が漏れる。それでも短い悲鳴だけで済んだのは指を噛んでいたからか。
直接触ってくれないもどかしさと、寂しさが頭を支配した。額に浮かぶ汗が憎たらしい。


「んー、飽きた」


突然、触れていたものが全部無くなる。は、と。後ろを振り向けばにやにや笑ってる男。馬鹿だろコイツ。自分のモノも硬くなってるくせに、ここで止めれないくせに。


「いやなんだろ?」


…それは、ずるいんじゃないだろうか。


「…痛くしてくれる、って言ったじゃん」
「なんだよ、目覚めたか」
「ランサーだけだばか」

憎まれ口を叩きながらふいと視線をそらす。ぎゅうとお腹に回って来た腕が愛おしくて手を置いた。

「ははん、つまりはなまえは俺にぞっこんって訳だ」
「それはお互い様じゃないの?」
「その通り」

じゃあ、と何時もよりワントーン低い声で囁いた。


「可愛いく喘いでくれよ」


腰を浮かされ脱M字開脚。次は立膝。依然ランサーは背中なのだけれど。
下着を下げられ直接触れられる感覚に高い声が出た。どうやら相当焦らされていたらしい。立膝状態で既に膝ががくがく震えていた。ぐちゅ、と粘膜質な音が響く。つーっと太ももを伝う感覚に更なる羞恥心が襲い掛かった。わたしはランサーのご期待に添えるように口から出る卑猥な声を出す。じー、と後ろでチャックの下げる音が聞こえて息を呑む。ゆっくりと誘導されるように腰を下ろすけど、いつもとは違う場所に宛がわれるそれに焦った。

「はあ、あん、らんっさあっ、!」
「痛くしてほしいんだろ?」

ずぶり、とランサーのソレを受け入れた場所は後ろで、悲鳴に似た声が漏れる。それでも前を弄られているからか、直ぐに快楽へと変わって喘ぎ声へと変わった。

「んあ、あっ、はあ、ん!」
「なまえちょー、かわいいっ、」

余裕の無い声でそう言われて、はあ、と熱い吐息で囁かれて。邪魔、とか言われて着ているものも全部脱がされて。突き上げられるモノがランサーのだって思うだけで、わたしに触れてるものが全部ランサーだって思うだけでわたしは幸せだった。

「ああっ、」
「ん、」

後ろと前を同時に攻められて与えられる快楽に脳がチカチカとする。駄目、って思った時にはもう果ててた。


「つぎ、前」


わたしが一回イったくらいじゃあこの男は収まらない。引き抜かれるだけで声が漏れた。

「あっん、や、」
「…もうギブ?」
「ちが、」

顔、見てイきたい。
そう言うとランサーはわたしの体を持ち上げ押し倒した。

「これで良いのか?」

こくりと頷くとランサーは「かわいいねえ、」なんて言ってキスをしてくれる。まださっきの余韻が抜けきらない体を突いて、彼は笑った。

「本当に、俺に染まってんな」
「だぁ、って…はあ、んあ」
「けどもっと染めてやる。もっともっと、俺だけしか見れないような、かわいい体にしてやるからな」
「ん、らんさあ、だけの、っああああっ!」

もうわたしの体なんて知り尽くしてるだろうに。
熱く硬いソレが大きくなって、熱が吐き出される。ぎゅうぎゅうと締め付ける感覚にランサーは眉をひそめた。あ、かっこいい、すき。

「わたし、も」
「…ん?」
「らんさーだけ、しりたい」

彼はうれしそうにわらって、じゃあもう一回な、とありったけの愛を込めてキスをしてくれた。




笑い合える日々を




葉月様リクエスト
ありがとうございました!
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