「暇だ」
「暇だね」

日向ぼっこなう。

ランサーと一緒に寝転んで日に当たる。紫外線?知りませんそんなもの。
青色の髪の毛が太陽の光できらきら光って綺麗だった。その髪の毛を弄って、一房摘まむ。唇に宛がうとランサーの匂いがして嬉しくなった。

「えっろ」
「何でやねん」

ぐい、とランサーがわたしの体を抱き寄せる。先ほどより濃いランサーの匂いが鼻腔を擽った。けど密着した体に胸がドキドキとうるさい程に高鳴っている。離れたくないなあ。
ランサーはそんなわたしの思考などお見通しなのか、クスクス笑いながら頭をわしゃわしゃとしてくる。足を絡められてなんとなく気持ち良い。素肌と素肌が擦れ合う感覚はなんとなく気持ちよくて好きだ。
手を繋ぎたいですの意を込めて手を差し出すとランサーは所謂恋人繋ぎで手を繋いできた。

「今日は随分積極的だな」
「そうですかね」
「ああ」
「じゃあ多分、眠たいからです」

ごろん、と手は繋いだまま仰向けになる。ランサーの手はごつごつしていて、堅くて、おっきくて、温かくて、好きだ。

「うわぁめっちゃ食いてえ」
「空気読めバカランサー」
「なんかそういう雰囲気じゃねえか」

それでも襲ってこないのはちゃんと空気を読んでるからだろうか。まあどうでも良いがな。
瞳を閉じる。息を吸う。で、目を開けてランサーを見る。その赤い瞳と目が合った。

「良いね、こういう何もない時間」
「贅沢な時間だなあ」
「かもねー」

けど、とランサーは言ってもう一度わたしの体を抱き寄せた。手を繋いでない方の手はわたしの頭に。

「お前と居られる時間ってのが幸せだ」

ああ、狡い。
笑うランサーはやっぱりカッコいい。むかつくくらいにかっこいい。だから、目を閉じた。ふ、と何かが顔に近付く気配を感じながら――…。



「お楽しみのところ悪いけれど」



凛ちゃん乱入なう。

「そんなとこでイチャイチャしないでくれるかしら?」
「ここわたしの部屋」
「衛宮君家のね。桜が掃除したいんですって」
「ね、姉さん…!」

いつの間に居たのか、桜が顔を赤くしてこちらを見ていた。いやこれは失敬。

「ごめんごめん、今移動する」

ほら、とランサーの手を引いて部屋を出た。ランサーはかなり不満げに唇を尖らしている。だから、足を止めて背伸びをした。



流れていく瞬間


八重さまリクエスト
ありがとうございました!
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