愛していると。
ゆっくりと首筋から下りていく指先は優しく。熱を持った視線はわたしを融かすように甘い。
「アーチャー、」
「ん…、待ってくれ」
鎖骨をなぞるように滑る。そうして漸く与えられた口づけに満足して息を吐いた。後ろに流れている髪に沿って頭を撫でれば目を細め気持ち良さそうにしている。もう一度落ちてきた唇が離れて、好きだと彼は言った。
「うん」
知ってるよ、と。
体を抱き寄せれば熱い息が耳にかかった。それがくすぐったくて声を漏らす。額、目尻、鼻先、頬、耳。全てに唇を落として彼はわたしのお腹を優しく撫でた。ゆっくりと上がってきて胸と胸の間を人差し指が伝う。ぴくりと反応して腰を浮かせば彼は笑った。
「随分感度が良いのだな」
「そっ、かなあ…」
首もとに唇を落として吸い上げる。優しく触れられた胸にわたしが息を呑んだ。
「…好きだ」
彼は呟く。
「わたしも好きよ」
だから、めちゃくちゃにしても良いと、
「嫌いになんかならないから」
強くなった力に目を細める。彼は邪魔なものを全て取り払いわたしを見下ろした。それから綺麗だと言う。
「……ンっ…」
太ももを触れるか触れないかの感覚で撫でられて痺れが走った。痺れというか、くすぐったいというか。とにかくなんか、甘い。
恥部に到達した指先はゆっくりと割れ目を撫でて一本ずつ入っていく。きゅ、と目を瞑ると耳朶を甘噛みされて肩が跳ねた。ちゅく、とアーチャーの舌があたしの聴覚を犯す。ナカに入った指が折り曲げられ、擦るように暴れまわればわたしは呼吸を乱す。動いてもいないのに額に浮かぶ汗が不思議だ。
吸い上げるように耳朶を噛んでアーチャーはまたわたしを見下ろす。そして唇に唇を重ねて、器用だなあ、と思った。ぐり、と増える指。
どちらのものかわからない唾液が二人の唇を糸のように繋げた。
「なまえ」
呼ばれた声に応えるように腕を背中に回す。するとアーチャーの指は無くなり、そのがっちりした腕を腰に添えられた。
「アー、チャー」
「……そう物欲しげな顔をするな。全く、可愛い人だ」
彼は困ったように眉を下げ自らをわたしのナカに突き挿れた。あっついのが、アーチャーが、わたしのナカを犯していく。きゅ、と彼は眉間に皺を寄せた。
「―…狭いな」
「…ん、…はぁっ、!…ゃ……?」
「良いや。嬉しいよ」
君を知ってる男が私だけなのだからね。ゆるりと腰を動かす。それに合わせてぐちゃりと卑猥な音が聞こえて、恥ずかしくて、彼の肩口に顔を押し付けた。
「はぁ、あ…あ、ちゃ、んっ、!」
舌を肩に這わせて歯を立てれば彼の口から吐息が漏れる。少し乱暴にわたしをシーツに押し付けて、彼は先に一度謝った。
「一度や二度では、済まなさそうにない」
「ん、いっい、よ」
わたしの髪を梳いて彼は笑う。ぐちゃりと下半身から聞こえてわたしはいたたまれない気持ちでいっぱいになった。
「逸らすな」
「だっ、て…」
かあああと耳まで赤くしたわたしに、アーチャーは抽挿を早める。
「ぁ、はあ、あ!あ、んっ、あーちゃあっ!」
「なまえ、君が、悪いのだぞっ、!」
「ん、むう…!」
強く唇を押し付けられて歯と歯があたった。けれども気にすることなく交わる。
ちかちかと点滅する視界と襲ってくる快楽の波に少しだけ怖くなってシーツを強く握ればその手は解される。代わりに重なった大きくて熱い手を強く握ったら、強く握られた。
「あ、はう、んっん、――、!」
唇を塞がれたまま絶頂を向かえたわたしははくはくと酸素が足りない魚のように息をした。そんな姿を見てアーチャーは目尻に唇を落として流れた涙を舐めとる。
「やはり、一度にしておこうか」
「…はあ、ん、あ」
ぎゅう、とわたしの体を包み込んでアーチャーはベッドに倒れこんできた。まだ余韻の抜けきらない脱力しきった体でわたしもに寄り添う。
「あーちゃー、」
「なんだね」
「すき」
わたしの髪を梳いてアーチャーは微笑む。さあ、と額に優しいキスを落としてわたしの視界を奪った。
「眠ると良い、私の愛しいなまえ」
終らない愛の言葉を紅様リクエスト
ありがとうございました!