1月28日_通学路




この坂を下って、制服を着た生徒とは逆方向に歩く。少し挙動不審になりつつもお目当ての学校を見付けた。校門でそわそわしつつ待つ。学校についている大きい時計を見てあと10分、と心に決めた瞬間に二人の男子生徒がやって来た。


「士郎!」


片手を上げると此方に気付き、心底驚いた顔をした。ふふんそうだろう、あたしも自分を誉めてやりたい。

「海南、お前どうやって…」
「ノリっていうの?まあ、勘」

へらへら笑って隣の男子生徒と目が合う。目が合ったからへらりと笑った。

「こんにちは」
「こんにちは。衛宮の知人か?」
「あ、一成、彼女はなんというか…!」
「両親の都合上、士朗の家に住まわせてもらっている者です」
「うむ、なるほど」

まあ衛宮のことだから間違いは起きないだろう、などと言って軽く一礼する。それに習ってあたしも一礼した。

「そ、それで海南はどうして学校に?」
「士郎迎えに来たつもりだけど…これから新都?」
「ああ」

じゃあ邪魔しちゃ悪いか。

「あたしは帰るよ」
「え、でも」
「いーのいーの。一成、くん?士郎をよろしくね」
「…忝ない」

じゃにーと二人に手を振り踵を返した。まあ、これで家から学校までの道のりは覚えた訳だ。



軽くスキップをしながら帰り道を歩く。ああ、楽しいなあ。そんなことを思いながら歩いていたら赤のロングコートを着ている女生徒を見付けた。

「すみません!」

声をかけると女生徒ははい?と驚いた表情でこちらを向く。

「いきなりすみません…あの、この辺におっきい武家屋敷の衛宮って家知りません?」

女生徒は更に驚いた顔をしたが、直ぐに柔らかく微笑んでくれた。かなりの美人さんである。

「それならこの道を真っ直ぐ行けば大きな屋敷があるので、直ぐに分かると思います」
「あ、ありがとうございます。本当にいきなりすみませんでした」
「いえ、お気になさらないで下さい。困っている方を助けるのは普通ですから」



では、と言って去っていく遠坂凛を笑いながら見送った。なんだアレ、凄い違和感。めちゃくちゃ面白いんですが。

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