【two day】


のそりと布団から這い出る。少し寝過ぎたか、頭がいたい。

寝間着から近くにあった服を着てく。どうせ今日は出掛ける予定なんてないからなんでもいいや。
時計を見るととっくに3時を回っていた。おー、やばいやばい。寝過ごしたとかそういう次元じゃないだろこれ。何で誰も起こしてくれないんだ(まあ起こされても起きないんだけど)

よたよたとゆっくり歩きながら洗面所に向かう。歯を磨いて顔を洗って、完璧だ。別にお腹空いてないけど居間に向かった。
こんな時間に食べたら夜ご飯食べれなくなりそうだなあ、そんな事をぼんやり思いながら居間と廊下を隔てる戸を引いた。



「…」



そして直ぐにクローズ。
いや、分かってる。分かってたよ、うん。大丈夫だ問題ない。
息を吐いてもう一度戸を引いた。



「…おはよう御座います」
「随分と遅い御起床ですね、海南」
「……士郎君」



ちょっと事情を教えなさい。


****




「…で、一週間2人増える、と」
「あ、…ああ」


はあと頭を抱える。
いや増えるのは良い、問題ない。すっかり忘れてたけどこういう展開になることは分かってた。そんなことよりもっと大事な問題がある。

「…あたし出てこっかな」
「はあ!?」
「いや一週間くらい」

流石に増えすぎで士郎大変でしょ?
そう言うと士郎はびっくりした顔をした。なんでやねん。

「ランサーのキャンプだって張りっぱなしだし、ギルに頼めばホテルの一室や二室どうにでもなるだろう「駄目だっ!!」…えー」

そこまで拒否しなくとも良くないか。
肩を掴まれ上下に振られる。頭がぐわんぐわんします止めてください。

「女の子に一週間もキャンプ生活なんてさせられる訳ないだろ!ギルガメッシュにホテルなんて頼んだら何されるかわかんねえし!!家の心配なんかすんな!一週間くらい大丈夫だ!」
「お、おう」

全く何をそんなに必死になってるんだ、このお人好しが。それにしてもギル信用されなさ過ぎだろ。
まあとにかく、大丈夫らしい。寧ろ心配しないでほしいらしいよ衛宮くんは。とんだドMさんだね!!
しかしその後すぐに「あ、」ととても大事なことを思い出したように声を漏らして、目を反らし出した。忙しいなあ。

「……実はっていうか、なんというか」
「なにさ」
「……あの赤髪の身長高い人いただろ?」
「居たけど」
「…………ランサーの元マスターなんだよな」


「「……」」


たっぷり十秒間、あたしと士郎は無言で見つめあう。響きは素敵だね。


「…で?」
「あ、いや、それで…海南がランサーのマスターってこと知らないんだよな。寧ろここにランサーが住んでるってことも知らない」
「ほほう」
「……どうしよう」


うーんと頭を抱える士郎の肩に手を乗せた。すると士郎はこちらを向く訳だ。


「安心して、士郎」
「海南……!お前、まさか説明してく「成り行きで問題ない」れねーのかよ!」


素晴らしいツッコミご馳走様でした。
なにやら吼えている士郎を無視して再度居間へ向かう。するとバゼットとカレンがお茶を啜りながらテレビを見ていた。他にも凛、桜、セイバーがいる。なんだこのハーレム状態。

「あ、海南。話は聞いた?」
「うん、ばっちりしっかり聞いた。つまり士郎のハーレム城が更に色こ「海南?」はい居候様がお二人お増えになられるのでしたね」

宜しい、と凛がニッコリ笑う。
怖い怖いなんかガントが飛んできそうな気がした。やべーよ目がマジだったよ。
桜にお茶を頼むと何か食べますか?なんて言われたので時計を見る。するともう直ぐ4時になろうとしていたので夕飯までは良いと笑いながら断りを入れた。

「アンタねー、一日一食じゃ生きてけないわよ?」

凛が呆れたように、てか呆れながらあたしに言ってきた。違うんだよ、昼過ぎまで寝ていると空腹が一周してしまい腹が減らなくなるんだよ。まあ要するに昼過ぎまで寝ているあたしが悪い、そういう事だ。

「可能な限り善処します」
「…そうだわ、海南」

無表情な声が聞こえてきてそちらを向く。すると修道女が正座をしながら此方を向いていたのだ。


「あの――…」


その瞬間、かわいいカワイイ小悪魔ちゃんの笑みが、見えた。見てしまった。


「ランサーの調子はどうですか?」


「え、あ、うん。普通」
「そうですか」


あははー変なこと言わないでよカレンーちゃーん。
そうですねーうふふー。




「今……なんと仰いましたか?」




…………でーすよねー。

何となく微妙な空気が流れる。しかしこの小悪魔ちゃん、とても良い性格をしてらっしゃるのだ。




「ああバゼット、貴女は知りませんでしたね。そこにいる彼女はランサーのマスターです」
「てへぺろ」



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