【??? month】



「海南、起きろ」
「んん、………や」
「朝だって」
「んー…」


ぐしぐしと手の甲で目元を擦る。そうして視界に入った青に今の時刻を聞いた。


「10時だ」
「…ゴミ」
「9時だな」
「起きてたなら、捨ててきてよ」
「さっき起きたんだって」

いやあー、と上半身を起こし、迫ってきたランサーから逃げるようにベッドを出た。不満の声すら無視し、洗面所に向かう。

「海南、なんか忘れてるぞ」
「んんー」

歯磨きを終え、顔を洗う。
ランサーを洗面所に残し朝ごはんを作るためパジャマのまま台所に立ち冷蔵庫を漁る。

「なー海南ー」
「うっさい何」
「だから、忘れてんだって」
「何を」
「おはようのキスは?」
「ない」

ばっさりと言い捨て、食パンを焼き生卵を2つフライパンの上に落とす。その間腰に回ってきた腕と、肩に乗った顎は無視することにした。

「ちゅー」
「うっざ、きも」
「ひでぇなオイ!」

頬に唇を寄せ、甘えた声で構ってくるランサーの弁慶を蹴りあげ冷蔵庫からウインナーを取りだしフライパンに落とした。

「クー、皿」
「…チッ、可愛くねえ」
「早く」

はいはいと気だるげに返事をし、ランサーが取り出した皿の上に目玉焼きとウインナーを落とす。


「昨日のサラダ出して」
「あいよ」


テーブルの上に目玉焼きとトースト、サラダが二人分並べられ、椅子に座った。



「「いただきます」」



****



今日の当番はランサーなのか、食器を片付けている男の後ろに立つ影。

「クー」

んあ、と気の抜けた返事をしたランサーは首だけで後ろを向く。それとほぼ同時に引っ張られる感覚、と。



「おはよう」




重なった唇を離し、したり顔の海南が笑っていた。

幸せのかたち
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