夢見た乙女If黒ディルムッドと裏
嘘のメランコリー
もう限界で。否、初めから限界だった。ただ忘れたたかっただけなのか本当は愛したかったのか。
「……はっ、や…め……ろッ!」
「嫌です」
息をする事すらままならなく、喋ることすら難しく。ただ冷たいコンクリートの壁に手を付け腕を噛むことしかできない。後ろから腰を押し付けながら少女の腹と胸に手を回す。はぁ、と酷く苦しそうな声と卑猥な水音が廃墟に響いた。
「…ふっ………ん……!」
「声を聞かせて下さい、マスター。マスターの声が聞きたい」
腕を噛んでいる口に無理やり指を突っ込み舌を押さえる。
「はっ、はあ゛ぁ、ふっあ、ん゛ぐ、!」
「マスター…!」
ぐり、と更に腰を押し付け少女の悲鳴に似た声が脳裡を焦がす。指を口から引き抜けばだらだらとだらしがなく唾液が零れ落ちた。
「…ふっ、う…う…ぅ゛あ……」
「マスター」
ぐるりと無理矢理体を回し向き合わせる。向き合わせて、唾液だらけの唇を塞いだ。少女の体が、大袈裟に跳ねる。
「マスター、足りません」
「…、……」
「足りないんです」
酷く熱を持った瞳に射ぬかれ虚ろな瞳が僅かに意思を持つ。火照った体は冷めることがなく、それこそ死にそうだった。
性行為という名の魔力供給。本来今のディルムッドにそんなものなど必要ないのだ。だが、彼は彼女を必要とした。そこから始まった行為は想像を超越していてディルムッドはごっそりと、底が尽きようとも彼女の魔力を奪っていった。少女の胎内は底が尽きた魔力を構成しようと急激に活動を開始する。その急激な運動により、彼女は胎内に尋常ではない熱を作り出してしまった。だから、この行為が終わるまでそれは繰り返され熱が冷めることはないだろう。
「…ぅ……あ……、…」
「マスター」
瞳を細め少女は目蓋をちらつく青に息を吐いて、呟く。その瞬間に体が倒され背中を強打した。痛みに顔を歪め、押し倒した人物を見上げる。
「…誰を見ているんですか」
目を細め、明らかな怒気、殺意、殺気。
「貴女は誰を見て誰を感じているのですか!」
「……でぃ、る……」
「違う!!」
ぎりぎりと骨が軋む程に肩を掴み、彼は泣きそうな顔で叫んだ。
「貴女の槍は俺ではない!あの青い男だ!!」
「………」
「どうして…!こんなにも愛しているのに!貴女は俺を見てくれない!!俺を、このディルムッド・オディナを…否!この俺という存在を!!貴女はあの男に見立てているだけだ……!!」
痣になった肩を掴んだまま彼は少女を突く。突然の衝撃に少女は背を退けさせて喘ぐ。その手を掴んで、膨らんでいる下腹部に宛がわせた。
「わかりますか…?ここに、俺がいるんです。マスターのナカに」
「…ん、ぁ…あ…!」
「…俺が受肉して、肉体を持ち生殖器官を持って俺の子を孕んだら貴女は俺だけを見てくれますか?俺だけを愛してくれますか?」
「…はあ、あん…う、あ、!」
何度も精を吐き出されたソコは動くだけで溢れ出す。腰を動かしながら、彼は笑う。
「なあ、なまえ」
更に速度をあげたディルムッドに少女は掴まる。背に手を回し、鍛え抜かれた綺麗な体にしがみつく。
「ぅ、ああ、あああああっ!」
涙を流しながら少女は体を離す。そうしてコンクリートに背を着け男を見上げた。
「……マスター…」
ぽたりぽたりと落ちてくる滴。
「…俺を……俺を愛して下さい…」
その滴を掬いながら、少女はディルムッドに微笑んだ。それを見たディルムッドも同じように微笑む。
「 ばかなひと 」
莫迦な二人泣きながらは嘘を吐いて依存する