槍と剣が交わる中それは唐突に現れた。長い金の髪、現代の服を身に纏い立っているだけなのに押し潰されそうな威圧感。それは一度くるりと周りを見回し、嘲笑った。

「――この程度か」

そうして踵を返しコンテナの上へと移動する。

「余のことは気にするでないぞ雑種共。思う存分に殺し合うが良い」





段々と重くなっていく雰囲気。先ずセイバーが騎士"王"と名乗ったことで彼女は眉を寄せた。そうして次はライダーが自らを征服"王"と名乗ったことによりそれは確かな殺意へと変貌を遂げた。

「そこの小娘よ」

ぴくりとその殺意がライダーへと向けられる。

「貴様マスターはどうした?そのような外装で戦へ馳せ参じるなど有り得んぞ!」
「―――黙れライダー、貴様死にたいか」
「高見の見物を決め込んでおらんで、貴様も混ざれ!」

一段と鋭くなる殺意にライダーも息を呑んだ。彼女はゆるりと身体を揺らし、標的を見据える。

が。


「我を差し置いて王と称す不埒者が、一夜のうちに二匹も沸くとはな」


その声に彼女は殺意を殺す。
殺意を殺し、鼻を鳴らした。

「遅いではないか。堪らず殺してしまうところであったわ」
「――ほう。やはり貴様も居たか」
「無論。だが困った事にな、魔力の供給源をうっかり殺してしまったのだ」

その場にいた存在全てが彼女を見上げた。

「殺した…だと…?」
「随分老い耄れた男よ。余を見、言葉を二三交えるなり癇癪をおこしおってな、煩わしかったので思わず殺してしまった」

悪びれる様子などなく彼女は笑った。そうして下の者など眼中にないかのよう金色の甲冑に身を包んだ男を優しい目付きで眺める。

「ところで、クラスは何で喚ばれた?」
「余はどうやらアーチャーらしい」

と、男の方が盛大に笑い声をあげた。その声に女もほくそ笑む。

「くははははははっ!!流石は我が半身!まさか死後この様な生となっても我と同じとは!」
「なんだ、お前もアーチャーか」

くすくすと女は笑う。こうでなければ面白くないと、これが当然の結果なのだと。

「ま、待て!アーチャーが二人だと…!?」
「余は昨夜喚び出されたばかりでな。どうやらお前が正規らしいぞ?」
「く…ふふ…関係あるまいさ"アーチャー"!」
「…く、そうだな"アーチャー"」

女は目を細め瞬く間にその身を黄金の甲冑に包む。愉快そうに下の者達を見下し、片手をあげた。

「さあ、自らを王と称する不届き者共に制裁を」
「死んで償うがよい」

二人の背後が、光り出した。
けれども現れる黒に男が眉を潜め、それを感じ取った女もまた眉を潜め背後の光を消す。

「誰の許しを得て我を見ている?狂犬めが………」

黒の視線は男に向いていた。けれども真逆の上にも視線を向ける。

「――…失せろ。穢ならしい目で余を見るな」
「せめて散りざわで我等を興じさせよ。雑種」

男の背後の光から武器が顔を出す。そうしてそれらを全て黒に向け放った。
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