シュメールの地は暴君と言われている王がその國を治めている。神と人の間で産まれたその王は十分過ぎる程の力と知恵、更には美貌を持っていた。力のままに民を支配し、臣下を支配し、その世界すらを支配せんと力を奮う。だから人々は王を恐れた。従わなければ殺されてしまうから、従った。

王には双子の妹がいた。
瓜二つの美しく顔立ち、その王女もまた人々から恐れられ権力のままに民を、臣下を支配していた。本来ならば赦されることではない。権力者はただの一人しか赦されない、ましてや女が頂点に立つことなど甚だ愚かしい。にも関わらず、神はそれを赦した。否、寧ろ敢えてそうさせたのだ。

決して、我が子を孤独であらんとする為に。




「ギルガメッシュ」
「どうしたユリアナよ」

玉座に座っているギルガメッシュの膝に己の体を乗せ、彼女は金色の髪を流す。

「余は宝が欲しいぞ」
「…ふむ」

何やら考える素振りをしてギルガメッシュは長い髪に指を通す。彼女もまた、逆立てた彼の髪の毛を流れに沿って梳き遊んでいた。

「どうせこの世の財は全て我が手に落ちるのだ。焦ることはない」
「何を申すかギルガメッシュ、世は常に変動し、変化を繰り返す。早急に余達が全てを回収し管理してやらねば折角の宝物も錆びるというもの」
「確かにな、全く世話の焼ける」

誰もそんなことを望んでいないというのに、彼等は「世界の全て」は己の手中だという。管理してやらねば、と。周りからしてみればはた迷惑な話である。

「明日にでも東へ向かうか」
「ああ良い案だ。早速臣下と兵共に支度をさせよう」

それでも彼等は笑い合う。
純粋無垢な、子供のように。
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