「アレは少しばかり遊び心が豊富でな」
「………!」
「…全く、困ったものだ」
「さぁさぁ余を愉しませよ!!この穢らわしい化け物め!」
ギルガメッシュと時臣の乗っているヴィマーナよりも何十倍も小さい、恐らく人一人分乗っているのが十分、二人乗るのが精一杯な大きさだろう。彼女は金色の飛行物体らしきものに立ちながら笑い声をあげている。
「くだらぬ再生力を持ちおって!ならば再生する間もなく切り刻んでやる!」
はははは!と甲高い笑い声を響かせながら伸びてくる触手を素早く動く金色のそれに乗り華麗にかわす。速度を落とし手摺らしきものから手を離して、彼女は両手を大げさに広げた。
「食らうがよい!!!」
黄金に輝きだす彼女の背後。そして姿を現すのは何十にも至る武器たち。
「せめて足掻けよ―――汚物めッ!!」
それを上空から眺めていたギルガメッシュは鼻で笑い時臣は息を呑む。
――彼女が、やってくれるのだろうか。
そんな淡い期待を抱きながら水面下を低空飛行し武器を出現させ続けるユリアナ。機体は通常ではありえぬ動きをしながら飛び続ける。
「――…ふん、少しばかり遊びすぎだな」
「はい…?」
「わからぬのか?今のあやつはアレを倒す気などない。言ったであろう?遊び心が豊富なのだと。アレは、我の宝物などではない。ユリアナが集めたただのガタクタよ」
彼女の背後から飛び出すのは、それでも多大な魔力を感じさせる武器。それを、この男は"ガラクタ"だと言った。そうして片手をあげる。
「―――!」
彼女の進行先に現れる黄金の異空間。唐突に現れたソレをかわすことなどできずに、中へと突っ込む。そして彼女は機体を蹴り上げた。
「―――ッ!!」
「愚か者。はしゃぎすぎだ」
その瞬間に異空間は正常へと戻り、足を着いたのは
ギルガメッシュ達が乗っていた飛行物体――ヴィマーナ。金属の音を奏で、彼女は座っているギルガメッシュを睨み付けた。
「何故止めた!」
「魔力の無駄だ。貴様、消えたいか?」
その台詞にユリアナは言葉を呑んだ。つーっと額の汗が滑る。
「遊びたいのならば魔力の供給源を探せ。無駄にするでない」
いくら単独行動スキルが備わっていたとしても、あくまでそれは供給源があるからこそ戦闘を行えること。彼女は拗ねた子のようソッポを向き黄金の武装を解いた。