衛宮邸の前に着き彼女は眉を寄せた。しかしそんな事を知らない士郎は彼女の足元を気にしつつ中に案内する。

「ただいまー。って、そこ仕切りあるから気を付けろよ」

ぴょん、と大袈裟に跨いで彼女は衛宮家へ這入り周りを見回した。何も見えてはいないのだが大体の構図は分かるらしい。

「お帰りなさいシロ、ウ」
「ああただいまセイバー。そしてこの人は――「離れて下さいッ!」え」

士郎の帰りを出迎えたセイバーは彼女を見るなり一瞬で武装して剣を構えた。そんなセイバーに士郎は呆然と口を開け頭にハテナを浮かべる。何やってるのこの子、と。

「…む、その声はセイバーではないか」
「え」
「アーチャー…!貴様何故ここにいる!」
「何故?この雑種が飯を献上すると言うのでな」
「そうではない!」

今にも斬りかからん勢いのセイバーに彼女はヤレヤレと肩を竦めた。めんどくさい、と。

「とにかくシロウ!そいつは危険です!」
「ま、待ってくれセイバー!彼女がアーチャーな訳ないだろう!?」
「いいえ確かに彼女は"前回の聖杯戦争のアーチャー"でした!」

目を見開き彼女を見た士郎。けれども彼女は本当に嫌そうな顔をしているだけだ。

「……全く、頭の堅い奴だ」
「な…!」
「一度しか言わぬからよく聞け」
「…」
「確かに余は前回の聖杯戦争ではアーチャーだった。だがな貴様が中途半端に聖杯を破壊しおったせいで光も力も失い、代わりにこの世に受肉してしまったわ」

見えぬ筈のセイバーを睨み付け忌々しそうにそう吐き捨てた。その台詞には流石のセイバーも心当たりがあるのか、剣の下げ驚愕の表情を浮かべる。


「下がれセイバー。余は空腹を満たしに来ただけだ」
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