2日目
「海南、海南」
「んん…」
「朝だ、今日は9時からバイトではないのか?」


煩わしそうに布団を被りあと一時間、と呟く海南。そんなことをしては遅れてしまうというのに、

「バイトだろう!起きろ!」

ゆっさゆっさと布団を揺さぶれば渋々と言った感じに布団から顔だけを出す。そして、伸びてきた手が俺の髪の毛を鷲掴みにした。

「!?」
「んー…ふふっー、……」

そのまま布団の中に引き摺られ、頭を抱えられ足を絡められる。寝惚けている!完全に!むに、と鼻先に当たる柔らかいもの。なんだと思って、考え、後悔した。


「なななななっ、な、海南!むむむむね、ムネがっ、!」
「んー…」

ぎゅうと更に強気抱き抱えられる。むにゅうと柔らかいそれと鼻腔を擽る甘い香、りが、ぁ、ま、俺、も、おと、こ、だ、か、ら、くー、兄さん、たすけっ、




「起きろこのやろう」
「…!」
「〜〜〜っ!?いった、いったい!?何!?地震!?」

がばりと起き上がり頭を抱える海南。勿論、俺はベッドから転がるように落ちた。不思議そうにこちらを見ていた海南だったが、時計を見て悲鳴紛いな声をあげる。

「っ、やっばバイトバイト…!」
「ディルがさっきから起こしてんだろ」
「うっそまじ!?気付かんかった!」

クー制服鞄に詰めて!と叫びながら服に手をかける。クー兄さんは気にした様子もなく平然と文句を垂れていた。


「海南!?」
「なにディルちゃん!あとでにして!」
「い、いくら家族だといっても、男子の前で肌を曝すのは…!」
「わかったわかった!あー!クー今日あたしコンビニの方も入ってるからそっちも詰めて!」
「俺だってバイトだっつてんだろ!」


寝間着を脱ぐ前に、俺は耐えきれなくなり部屋の外に逃げる。あの二人は異常なんだ絶対…!


海南の香りとムネの感触を思い出して、頬が熱くなった。


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