昼時、蹴る
ブブブブ…と揺れる携帯を開く。ディスプレイを見れば「ディルムッド 件名(not title)」と表示されていた。なんだろう、と思いメールをひらく。




Date 2012/7/12 09:42
From ディルムッド
To  クーフーリン
Sub (not title)
─────────────
二人とも弁当忘れたから
セタ兄さんが届けてくれたよ


─────────────



と、用件のみが書かれていた。返信しようとするとまたメールが来る。「クーフーリン 件名 Re:」




Date 2012/7/12 09:42
From クーフーリン
To  ディルムッド
Sub Re:
─────────────
海南に渡してくれや。
俺昼の前体育だわ\(^o^)/

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だそうだ。人使いやがって。




Date 2012/7/12 09:43
From 海南
To  ディルムッド
Sub Re:Re:
─────────────

わかったよ(・`ω・´)

昼にディルちゃんの教室行くねー


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…二人に送信っと。




Date 2012/7/12 09:44
From ディルムッド
Sub (not title)
─────────────
りょうかい( ̄▽ ̄)ゞ

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Date 2012/7/12 09:44
From クーフーリン
Sub Re:Re:Re:
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さんきゅm9(^Д^)プギャー

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下の奴感謝するときの顔文字じゃねえ。




****




約束通りに昼一年の廊下に来ていた。あ、因みにうちの学校は一年二年三年と色が決まっている。一年は緑、二年は青、三年は赤と言った風に靴やジャージの線、制服についている校章のバッチ、といった細かいところの色が振り分けられているのだ。まあだから一年の廊下に一人で居ると若干目立つ。

二組の教室に入ろうとして、中にディルちゃんを見つけた。その目の前には金髪が、何やらディルちゃんに言っている。



ディルちゃんが困ってる――!




「オイ」

掛けられた声にそちらを向く。すると隣のクラスのギルガメッシュが腕を組んでこちらを睨んでいた。

「俺か?」
「当然だろう」
「何か用だろうか」

ギルガメッシュはちらりとクラスを見回してからアルトリアは、ときいてきた。

「アルトリアなら購買に」
「なに…?まあ良かろう。…貴様のような雑種がアイツの傍に居ることが気に食わん」
「は?」

思わず面食らった。
いや、こいつがアルトリアに好意を寄せてるのは知っていた(一方通行だが)…だが、何故俺?

「随分とその顔で女どもに言い寄られいるようだが、アイツはそうは行かぬだろう」
「…いや、俺とアルトリアはただの友だぞ」
「はっ!何を言うかと思えば!始終引っ付きながらそう言うか」
「い、いや…」
「アルトリアには近付くな。好きにしたいのなら他の女にすれば良かろう」

その声にクラスの女子数人が反応する。あ、と思ったが遅い。その目はあの目だ。俺を、狙う、女の、

「お、俺は別にそんな…!」
「戯言を。所詮女など遊び――」

だんっ、と。
何かを蹴る音が聞こえた。



「でぃーるーちゃーんーを」



ギルガメッシュが消える。




「虐めてんじゃねえよこの金ピカぁ!!!!」




ガンッと音がしたと思えば海南が綺麗に着地。そして飛び蹴りを喰らわしたギルガメッシュの首襟を掴み持ち上げる。

「な、なっ」
「おいこら、うちの弟虐めてんじゃねえっつてんだよ」
「おとっ、弟だと!?」
「海南っ、べ、別に俺は虐められてなどいないぞ!」
「ん?ディルちゃん怖がってたじゃん」

ぱっ、とギルガメッシュから手を放しこちらに向き直る。大丈夫?と本気で心配するように俺の顔を除き込む姿にじーんと目尻が熱くなる。ああこの人が身内で本当によかった。

「よしよし」

ふさふさと俺の髪の毛の流れに添って頭を撫でる。ああもう可愛い。俺幸せ。


「ディルムッド!」


ふと友人が俺を呼ぶ声がきこえた。そちらを向けば両手にこれでもかと言うほどパンを抱えたアルトリアが。

「海南っ、すまない!私が付いてないばかりに…!」
「うむ。アルトリアちゃんにはあたしが付けない間ディルちゃんを守ってもらわなきゃなんだからね!」
「ああ、任されている」


キリッとする姿はなんとも勇ましい。しかし、とりあえず、口に付いているパンのかすを取ってはどうだろうか。



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