倒 錯わぁる ど

・ホール・イン・ワンA
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その後、僕の部屋にはバラバラになった彼がいた。
はじめてにしては綺麗に切断できたのはきっと昔からこういうことを潜在的に望んでいたからに違いない。生ぬるい彼の体に高揚する。彼の体は今、死を受け入れている。生命活動を停止しようとしている。その瞬間のなんて儚くて綺麗なことか。
片目の瞼を指で押し上げればそこには何もない空洞が広がっていた。目は抉り出してしまったけれどその空洞が僕の心をつかんで離さない。もう一度瞼を閉じて、僕はその皮膚にキスをした。もう彼の体は冷たく硬かった。

僕の顔は女性のようで力もまだまだ弱いけれどこれは武器になるなと思った。せめて力だけはつけようと、腹筋を割らない程度には体を鍛えておけば簡単に人を殺すことはできた。僕は惚れっぽいようで、スタイルのいい人にすぐに惹かれた。あれを自分の手で奇形にするかと思うだけでぞくりと心が昂ぶる。
一般の人を好きになった時は援助交際の形に持ち込んだ。学生の場合はそれをネタにして可哀想な子を演じた。相手より下の立場を演じることはつけこみやすい隙を作ることができるということであり、僕はこの顔を確かに武器にすることに成功した。援助交際はお金稼ぎにもなったし、おじさんたちは情報もたくさんくれる。本当に好きな人とはこういうことを一生しないんだろう。その前にきっと殺してしまうから。
なんて思ってはお金を受け取る。

僕とにぃちゃんの家はだんだんとモンスターハウスみたいになっていたが割とそれで楽しかった。好きなことを好きなだけできるのは僕たちにとって幸せそのものなのだから。集めた素材はすべて丁重に保存した。臓器はどうしようかと思ったけれど捨てるわけにもいかないし置いておいても匂いがきついから食べることにした。
人の肉はザクロの味がするなんて言った人がいたけれどそんなことはなくて、ちゃんと先に処理をして食べると臭みもなくおいしく食べられたし食費も浮いて僕は満足だった。

「僕は人が好きだよ」
「あの不完全なところが特に。」
「なんでかってバカみたいでしょ?」
「こんな体で完全だと思って奢っている」
「僕は完全な人間を作ってみせるよ、それでね」

僕はそいつに、殺されるんだ。
僕が愛する彼らを殺したように。彼らも僕を殺さなきゃあ辻褄が合わない。
だからそれまで失敗するわけにはいかない。僕は今日も無邪気に笑おう。

「はじめまして、僕は朱織っていうんだけど君は?」

はじめまして、×××人目の好きな人。

朱織くんがこうなった経緯っていうかそんな感じ。朱織君くんは先天的におかしい子です。何かトラウマがあるとか理由があるとか一切そういうことはなくてなるべきしてこうなったっていう感じが理想。両親はいろいろ考えましたが無害かつ兄弟が手をかけていないほうが辻褄が合いそうな気がしました…

     

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