4
今日はリツがちょこを作ってくれた。もうすぐ、ばれんたいんだから、その練習だって言ってた。ばれんたいんだとちょこをもらえるのかって聞いたら、好きな人にちょこをあげる日なんだって教えてくれた。大好きだからオミちゃんにあげたいって言ったら、ちょこの作り方を教えてくれた。やったことないけどできるかな。できるか分からないけど、リツが作ったものじゃ好きが伝わらないからオミちゃんにはマルが作るんだ。

作ってる時、たくさんむずかしいことがあって、リツに聞いたりもしたけど、ちょこができた。丸いのを作ったのにぐちゃぐちゃになっちゃったのもいっぱいあって、それはオミちゃんにあげられないからマルが食べた。一番きれいにできたのを箱に入れて、りぼんをぐるぐるってして、ちょうちょみたいにする。うまくいかなくって何回もやったからちょっとぐちゃってなっちゃったけど、ちょうちょみたいになった。大事に持って早く早くって思いながらオミちゃんのところにいく。

オミちゃんを見つけるのといっしょにちょこのにおいがした。そーっとオミちゃんがマルに気づかないように近くにいってみたらきれいなちょこがたくさんあった。まんまるできらきらしててとってもおいしそう。マルの作ったのとちがって、リツが作るみたいにきれいなちょこ。やっぱりオミちゃんはすごいなぁ。

マルのちょこはきれいなまんまるにならなくて、りぼんもへんなちょうちょだから、きれいなちょこを作るオミちゃんはこんなのいらない。オミちゃんが見てるんじゃないけど、ちょこを後ろにして、どうしようってなる。作ったけどいらないからすてちゃえばいいかな。

「マル、ちょうどよかった。これあげる」

ぐるぐるしてたらオミちゃんはちょこを作るのがおわったみたいで、かわいいお皿をくれた。そこにあるのはまんまるできれいなちょこ。マルの好きなもの。

「バレンタインだから。マルのチョコ」
「ああありがとう、オミちゃん!あとで食べるね!」

ごめんオミちゃん。でもこのちょこがあったら、オミちゃんのちょこをおいしいって食べれない。すててから食べようってそこから出る。

「マル?」

後ろからオミちゃんがふしぎそうによんでるのが聞こえたけどそのまま走る。
ぎゅってしてたから、ちょうちょはただのりぼんになってた。箱もはじっこがぐしゃってなっちゃっててかわいくない。食べ物はそまつにしちゃだめってリツがいってたし、大好きなちょこなのになんか食べたいってならなくて、ゴミ箱にぽいってした。

「マル。だめ」

声がしてびっくりしてたら、オミちゃんが箱を持ってた。

「オミちゃん、あのね!それね!もういらないの!だから」
「マル」

オミちゃんがマルをよぶ。きれいな声でマルをよんで、マルを見る。オミちゃんはマルがオミちゃんを見たのを見て箱を開けて、中のちょこを食べちゃった。ぱくって。きっとおいしくなんてないのに。

「マル、ありがとう。おいしい」

オミちゃんがそう言って笑う。

「おいしく、ないよ」
「おいしい。マルが作ったから」

おいしいちょこもらったからこれはいっしょに食べようってオミちゃんが言ったのはさっきのまんまるちょこ。オミちゃんの作ったちょこはとってもおいしかったけど、ちょっとしょっぱかった。

「オミちゃん、マルね、オミちゃんのこと大好き」
「オミもマルが大好き」

[ 4/6 ]

TOP




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -