そのシャムはヒトか


1.ヤマトとリツ

うちには猫がいるのよ、と美しい椿は言った。
大学での授業を終え、揃って帰路に着く。これから暑くなる、これから日が長くなる、そんな季節の変わり目。
その場の誰もの髪の毛が朱く輝いている。
みんな平等に、あかく。
椿の言葉を聞いて、途端にふうの目が輝く。

「へぇえ、うちにもいるんだよ、1匹。椿ちゃんの所は何匹いるの?」

何気なくからべりーとふうが目を合わせる。
一方が嬉しそうに、ね、と囁けば、もう一方も悪い気はしていない様に同意を示す。
椿が、朱い髪を靡かせながら答える。


「1匹よ。シャムなんですって」

少し歪な言い方で。
今の言い方。誰だって、耳につく。
ヤマトがほんの少し眉間に皺を寄せた。
その様子をあおたは、目撃しなかった。
ふうが小首を傾げる。

「? 椿ちゃん、その子のお世話とか、しないの?」

当然の問いに、椿は少し憮然とした風に答える。

「爪が長くって、お転婆だから、兄様が会わせてくれないの」

誰も気付かないところで、ヤマトとリツの視線が交錯する。

どちらも知っている。
どちらもわかっている。
どちらも、見逃している。

ふたりのバイト先。

椿の家。椿の兄の家。

椿と兄と、猫が1匹いる家。ーーあの家には、秘密がある。

2.舞白の場合

この部屋は薄暗い。
そう、僕が住む部屋は薄暗いんだ。
今日、気付いた。
それは今より少し前、兄さんがこの部屋に来た時。
兄さんが姿を現した、この部屋で唯一外に繋がる四角い枠が、朱く光輝いていたから。

普段は閉じられていて、兄さんが入ってくる時にだけ開く、扉。

この部屋には窓がない。
鏡もない。照明を反射する平面が無い。
だから薄暗い。
外から光が齎されるのは、兄さんが現れる扉だけ。

「舞白」
「兄さん」
 
兄さんが現れるのは、朝起こしに来る時、僕が着替える時、食事の時、

僕の体を清め、寝かしつける時。

さっき夕餉を持ってきてくれた兄さんが今度手にしているのは、熱いお湯がたっぷり入った薬缶と、盥と、タオルと、着替え――つまり湯浴み一式。
これらで兄さんは毎日、僕の体を拭き清めてくれる。
お湯を被るわけではないけれど、僕らはこれを湯浴みという。

「着物を脱がせるぞ」
「はい」

ほんの少し、胸が高鳴るのを自覚する。
身を捩りたくなるのを我慢して、熱くて乾いた兄さんの手に任す。
兄さんは滑らかな動きで僕の帯を解き、着物を脱がせていく。
僕は、自分で着替えてはいけないことになっている。
兄さん曰く、僕はちょっとした病気で、頭の後ろに大きな出来物があるらしいから、
気を付けて、触れないようにしなければならないのだそうだ。下着も脱いで、クッションに預けた僕の体を、兄さんは丹念に磨く。

無表情に俯く兄さんに話しかける。

「今日は」
 
兄さんといられる僅かな時間を、部屋の外での出来事を聴いて過ごすのが僕にとって日常の楽しみだ。

「何かありましたか」

「ああ、いや」
 
いつも、兄さんはこういう。特に変わったことはなかった、ということらしい。
僕は続ける。

「ツバキは、どうでしたか。今日は何していたんでしょう」
 
ああ、と呟きながら兄さんは僕の着物を纏め、新しい着物に手を伸ばす。

「今日も、外を散歩して、どっかでうまいもん貰って、夕方には帰ってきて飯食って、今、寝てる」

「そうですか」

頬が緩んだ。ツバキの話はもう何年も前から何百回と聞いていて、ずっとずっと想像していたから、今では僕の中で想像のツバキが生きているみたいな感覚になっている。

「ねえ兄さん、僕、ツバキに会ってみたいです。それはそれは美しい、シャム猫なんでしょうね」
 

兄さんが僕の肩にそっと寝間着を掛けながら、いつもの様に、ああ、いや、と曖昧な返事をする。

「ツバキはお転婆でな。爪の処理も、外に出しているからしてない。危ないから、お前には会わせられんのだ」
 
帯を手で探す。見つからないらしい。
僕が取って兄さんに渡す。

「いつか、この腫瘍が取れたら、僕はこの部屋の外に出られるんですよね。そうしたら、ツバキにも会えますね」
 
一層頬が緩んだ。きっとそれは、楽しい生活になるだろう。

「……そうだな」

さぁ終わった、ゆっくり横になりなさい、と兄さんが優しく言う。

それに従って僕は、兄さんを見つめながら、横向きに寝る。
後頭部を敷くことが出来ないから、顔を上げられなくて、胡坐をかく兄さんの脚しか見えない。兄さんの顔が見えない。

「舞白、いつか、助けてやるから」
 
僕に兄さんの顔が見えなくなってから、兄さんはこういうことを言う。

いつもの、低くて大人らしい、静かな声とは違う、弱弱しい声で言う。
ずるい、と僕は思う。
こういう時こそ、兄さんの顔がみたいのに。
兄さんの膝先を見詰めながら、微笑む。

「有難う御座います、兄さん。でも、僕は、今のままだって幸せなんですよ。それは知っておいてくださいね

「……ああ。おやすみ、舞白。よい夢を」
「はい、おやすみなさい。兄さんも、よい夢を」


本当はツバキなんてどうでもいい僕は兄さんさえいれば兄さんと一緒に暮らしていければもっと兄さんが僕を見てくれれば今よりももっと兄さんと一緒にいたい同じ時間を過ごしたい兄さんがツバキと過ごしている時間が欲しいもっともっともっともっともっともっと兄さんといたいだから本当はツバキなんて


3.チハヤの場合

舞白、初めてお前を見た時、俺は胃の中の全てを吐き出して、泣き喚き、神を呪い殺し、それからお前に愛を誓ったんだ。

椿が物心つく頃、舞白を監禁することを提案してきたのは奴だった。
真っ黒い瞳で、嫌な笑い方をしながら。

「なあ、お兄様。そうするしかないだろう? あんたとあんたの弟達を守るには
「二人共騙すんだ
「舞白には決して鏡を見せるなよ
「俺はあんたの為を思って言ってるんだぜ、じゃなけりゃいつ喋り出してもいい
「あとは俺とあんたが黙ってりゃいいだけの話だ
「これで家の平和は保たれるじゃあないか?」


俺は何も考えずに従った。
後にヤマトとリツを雇って事が知られても黙殺した。長男の権限で。

「これでよかったのか?って思ってんだろう」
毎夜、舞白が眠ってから舞白の部屋を訪れる。夜の奴は饒舌だ。
「そりゃあ日中、貝みてぇに口閉ざしてやってんだからな」

嫌な笑い方をする。

奴の真っ黒い髪が蜷局を巻いて見つめていると吸い込まれそうだ。
吐き気を覚え目を逸らす。
奴と反対側の舞白はよく眠っている。
白い髪と肌が美しい。
月光の下でなら尚更だろうに。

「叶わねぇ願い事ほど馬鹿げたもんはねぇぜお兄様。
俺はここからいなくならねぇし舞白も生き続けるだろう。
なんせ俺らは、

4.椿の場合

「椿っ、椿っ、……!」
 
お兄様が私に覆い被さって、汗だくになって、喘ぐように叫ぶように、私の名前を呼ぶ。乱暴に腰を振るために私の骨とお兄様の骨がぶつかる音がする、
気がする。

「おにいさまっ……痛い、わ……、もう少し」
「椿…っどこにも行くな、俺は…俺は、こわい」

可愛いお兄様。
真暗な部屋で、濡れたところだけ光っている。
月の光って、美しいわ。
お兄様のぬらりと濡れた瞳。
恐怖と怯怖でいっぱいなのね。

美しいわ。愛おしいわ。

「椿、すまない、こんな…」
 
荒い息の隙間で、私の前髪を優しく掻き上げながら懺悔する。
私は露わにされた瞳でお兄様を見上げる。

「おにいさまっ、痛いわ」

 泣く。咽び泣く。
肩を縮めて震わせて。
怯えている。

ふりをする。

酷いわ、と呟く。

お兄様に聞こえるように。

傷ついている、

ふりをする。

「すまない、すまない、すまない……」
 
お兄様の声は萎み、鼻水と涙で濡れていく。
それでも私の上からどかないことは知っている。
掛け布団なんて何処に行ったかわからないし、シーツは更にぐちゃぐちゃになる。
お兄様のだか私のだかわからない液体で接点は更に卑猥な音を立てる。
ふたり一緒に獣になる。
暗闇の中で、私の唇が歪む。

この時間が、私の全てなのよ。

私は泣くふりを続けて、お兄様のお顔はどんどん蒼褪めてゆく。

私が泣けば泣くほどお兄様は激しく抱いてくれて、雄くさい体が更に大きく雄々しくなる。それに期待して私は只管に、泣く真似をする。

必死に

5.チハヤの場合
 
音にならない。
叫んでも叫んでも叫んでも喉から何を出しているんだかわからない
自分が今何を言っているのか、音を出せているのか?肚が疼く。
脳味噌に黴が生えている感覚。
体をめちゃくちゃに動かす、四肢がぶつかる、何にぶつかる?知らない。

舌が渇いて、唾液が汚らしく垂れる。知らない。知らない。知らない、知らない知らないしらないしらないしらないしらないしらなししらないしらいりあkぢあ「チハヤ!!」

6.椿の場合
 
時は午後3時。中庭のテーブルにお茶とお菓子を用意する。
と言っても用意してくれたのはリツなんだけれど。
庭を眺めて、空を見上げる。
いいお天気だわ。
リツが人数分のカップを用意して来ると、皆なんとなくテーブルに集まる。

お兄様、私、ヤマト。

大学の授業がない日はお茶会をする。
私がまだ、家に籠っていた頃と同じように。
いいえ、同じではないわね。
わたしは平日には大学に行って、外に出て、たくさんのことを学んでいる。
前と同じではないわ。
リツが淹れてくれたお茶を一口、美味しい、と思わず呟く。
視界の端でリツが微笑んだのがわかった。

ふと。


「ねえ、お兄様、とても好いお天気よ。マシロも、たまにはお外に出した方が良いんじゃないかしら」
 
私は未だ、マシロの姿を見たことがない。
知っているのは、美しいシャム猫ということと、
私が生まれるより先に生まれたということ。

それから、お兄様が溺愛しているということ。

お兄様は時々、転寝をしながらその猫の名前を呟く。

「いや、あいつは紫外線に弱くてな。椿も知っているだろう、お前より先に生まれた猫だ、もう随分弱っている」
 
お兄様はお気に入りのカップを指で撫でながらお茶の水面を覗き込む。

「でも、お転婆って言っていたじゃない」

私を見ていないお兄様を見詰める。

「歳の割にな」
 
水面に話しかけるお兄様。

「そうなの、でも、そんなに美しいシャム猫なら見てみたいわ」

ああ、と曖昧に応える。出す気はないみたい。
残念だわ。
その姿を見たなら、いつか殺してやれるのに。
甘いお菓子を一口、私はまた、美味しい、と呟いた。

リツの顔は見えない。
ヤマトもリツもその猫を見たことがあるのかしら。
どうして、何も言ってくれないのかしら。

7.チハヤの場合

舞白、初めてお前を見た時、俺は胃の中の全てを吐き出して、泣き喚き、神を呪い殺し、それからお前に愛を誓ったんだ。


毎夜、舞白が眠ってから舞白の部屋を訪れる。夜の舞白は寡黙だ。

「そりゃあ夜は眠っているんだからな」

舞白の美しく白い髪が蜷局を巻いて見つめていると惹き込まれそうだ。
眩暈を覚え目を逸らす。

「なあ、お兄様。舞白に鏡を見せる気はないか?」

奴は提案してきた。

真っ黒い瞳で、嫌な笑い方をしながら。俺はただぼんやりとそれを聞く。
俺は何も考えなかった。

「今のあんたは酷く疲れてやがる。俺はあんたの為を思って言ってるんだぜ、じゃなけりゃいつ喋り出してもいい」

聞いたことのある言葉面に、徐々に頭に血が巡る。
思考が蘇る。

やめろ、混乱させようとするな。惑わすな。夜の奴は饒舌だ。真っ黒い瞳がぬるりと光る。

「秘密を守り続けるのは疲れるだろう、狂いそうだろう
「大切な弟を犯す気分はどうだ?美しい弟を女にするみてぇに掻き回す気分はどうだ?「雇いのボウズ共はいつまで口を閉ざしているかな?

「直接椿に言うだけじゃない
「あのふたりが此処に来るのをやめたら?何処かで言いふらしたら?それが椿の耳に入ったら?
「舞白こそが「俺と反対側側の舞白こそが××××だって」

「ぅ、るさいッ!!」

一気に頭に血が上る。
体中の血液が逆流する。
それに押し出されるように、言葉が。

言ってはいけない言葉が。言ってはいけない。いけない。いけない、のに。

「お前なんかッ、

朔黒が、嫌な笑い方をした。

8.舞白の場合

布団に横たわり、薄暗闇を見つめる。
気付いた時から耳鳴りと共に彼はいた。
この部屋は薄暗い。
僕が住む部屋は薄暗い。
ざりざりざりざり「それは何故だと思う?」ざりざりざり。
この部屋には窓がない。鏡もない。照明を反射する平面がない。
ざりざりざりざりざりざりざりざりりざりざり
「その意味を、考えたことはあるか?」
ざりざりざりざりざりざりざりざり。こんなのいつものこと。
いつも僕は聞き逃してきた。ざりざりと煩い雑音の中で聞こえる声。
「なあ、鏡を見てみる気はないか?」ざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりいつもの声ざりざりざりざり僕は無視するざりざりざりざりざり
「全くお前も強情だよなあ、俺がいくら喋りかけても全く反応しないでやんの」
ざりざりざり
ざりざりざりざり
「幻聴だとでも思ってんのか?ははっ」ざりざりざりざりざり
「でも、聞こえていただろう」ざりざり
なにが?ざりざりざりざり
「やろうと思えば出来るだろう」ざりざりなにを?ざりざり
「お前の頭の後ろを触ってみろよ」ざりざり
「なんの違和感もないか?」ざりざりざり
ざりざりざり
「何かないか?」ざりざりざりざりざりざり
「例えば、」ざりざりざ

「俺とか」

あ゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁああ゛!!!!」


反射的に手を離した指先に温もりが残るお前なんか首だけのくせに舞白こそがシャム猫だっていつか助けてやるからなんせ俺らは一つの体から生えているんだからシャム猫病気猫会えない腫瘍

ツバキ?ツバキは?ツバキ?ツバキは?シャム猫?シャム猫は僕?シャム?猫?僕?ツバキ?椿?つばき?椿?美しい弟を犯す気分はどうだ?椿?おとうと?、ひかりが、

「……おにいさま?」

普段は閉じられていて、兄さんが入ってくる時にだけ開く、扉。

眩しい。朱い光が目を刺す。後ろで黒い声が聞こえる。雑音と一緒に。

「お兄様?違いねぇ、お兄様だぜ美しい弟様よ!」ざりざりざりざりざりざりざりざり。

「だれっ!?」

「誰……?」君こそ誰だ。君達は何だ。

「私はこの家の次男よ」「僕はこの家の次男だ」
「私は椿よ」「僕は舞白だ」


ツバキ?ツバキ?シャム猫のツバキ?違う?喋らない、猫は喋らない。ツバキ?美しい弟?

「マシロ?シャム猫のマシロ?なあに、マシロってヒトだったの。
まァどっちでもいいわ」

美しい。確かに美しい。華奢な体、艶やかな髪、大きな目、小さな手、が握るのは光る刃。

「私、マシロのことずっと殺したかったの。
お外に出られなくって詰まらないでしょう?
つらいでしょう?苦しいでしょう?

楽にしてあげるわね」

ああ、大きな瞳がどろりと光る。
僕の後ろの雑音は消えた。
何も言わない。
ざりり。雑音が。頭の中に入って。

「お兄ちゃまが大好きな椿ちゃん」ざり、

「俺達を殺してお兄ちゃまを独占できるね」ざりざり。

唇が引き攣る。

僕は今、笑っている?

「今度は誰?」

「「舞白だよ」」ざりざりざり。

「お兄ちゃまの体はさぞ気持ちいいだろうね」ざりざりざり
「毎晩毎晩イイコのふりして」ざりざりざり
「お兄ちゃまが大好きな椿ちゃん」ざりざり

イイコでいないと嫌われちゃうね」ざりざりざりざりざりざり
「でも」ざり
「本当は椿、インランなの!」

「ぅ、るさいッ!!」

突き刺すような甲高い声、跳ねるように体が反転した。

「椿、お兄ちゃまがだぁいすき!」

首の皮が攣る。

後ろで彼が、嫌な笑い方をするのがわかる。

ひゅ、と椿の息が途切れる音がした。小さく、ひっと言う声も聞こえた。今度は椿が叫ぶ番だった。
「いやぁああああああああああ!!!!」

ああ、やっぱりそうなのか。
僕は僕の体を見る。
胸があって腕があって腹があって脚があって。
次に首を後ろに回そうとして、

「やめろよ、首の皮が攣る」

やめた。

代わりに、腕を上げて後ろの顔に触れる。
柔らかい皮膚の感触。ああ、やっぱりそうなのか。
ぼくには「俺には」、



「「頭がふたつある」」


シャム猫は、猫じゃなかった。


シャムは、僕だった。



僕は泣いた。


9.ヤマトとリツ

リツが新しい煙草を出したところで、ヤマトが火の点いた煙草を軽く振る。
互いに煙草を咥えて、先を合わせる。
火が移る。数分、朱い空を見て黙る。
鋭い朱がふたりの頬をさす。
煙草の灰が落ちかけたところで、どちらかが口を開いた。

「椿も舞白も朔黒もヒトなのに」

どちらかが首肯する。
「チハヤは全てに目を瞑ってしまっているし」
どちらかが煙を吐く。
「椿は全てを忘れてしまった」
どちらかが灰を落とす。
「起こったことは変えられないのに」
どちらかが煙草を咥える。
「残るは舞白と朔黒だが」
どちらかが目を伏せる。


「もうふたりは死にそうだ」

「もともと、ふたつの頭にひとつの体ではな、無理がある」
「これからどうするんだ、あの兄弟」

「俺はもういいよ」
「俺も降りるさ」


まだ半分残る煙草を、どちらとも踏み潰した。



【そのシャムはヒトか】










 

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