倒 錯わぁる ど
幕引き:箱庭セッション所見
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喧嘩は唐突に終わるし、意見は簡単に変わる。
世界はそうやって回っていく。
世界を変えるのは誰だ?
スーパーヒーローか、正義の味方か、はたまた悪の組織か。
簡単に変わる世界を変わらないものでいてほしいと願うことは悪か。
誰かの笑顔を願うのは悪か。
そのためにすべてをかけるのは正義か。
コインの表と裏のようにそれは簡単に変化する。
信じていたものが簡単に悪になる。それに気づける人はいない。
そうやって生きていくことしかできないのだ。
「ただいま、お兄様」
「おかえり…遅かったな、椿。」
「おかえり、椿。今日は何があったのか教えて?」
それでも言葉で人は救われる。生きていける。
「あおちゃん、おはよ〜!今日もほんっとにかわいい!」
「や、やまとくんおはよ…っやまとくんもかっこいいよ」
相手に何かを届けることはそう簡単ではないのだけれど。
「おとぅさん、マルにノートくれた!これに名前集めろって!」
「ご主人の言うこと絶対…がんばろう、マル」
言葉は勇気をくれる。言葉は聞こえる、そこにちゃんとあるものなのだ。
「朱織、」
僕はそんな思考を止められる。後ろを振り向く。
言葉は強い力を持つ。それが僕の武器で、僕のすべて。
50音がすべて。
見えない心を闇雲に探すより口から出る言葉を分析するべきだ。
僕は彼のことを呼んだ。
「みおくん!」
僕が大好きな名前を、僕が死ぬまであと何度口にできるだろうか。
僕は微笑みをたたえながらそう思った。
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