「おはよう。ヤマト君。」
僕の一日のはじまりはいつだって愛しい彼へのおはようで始まる。

【愛に溢れた日常】

「ヤマト君今日はお仕事午前からだよね?お弁当作っておいたからここに置いておくね。」
僕は一限から講義だ。急がなくちゃ。朝ごはんもそこそこにして家を出る。
「行ってきます。」
この言葉だけは欠かせない。部屋の奥から返事が聞こえた。

大学生活は面白い。個性的な友人もたくさんできた。しかしそこに彼が居ないとどうにもやる気が出ない。
「ヤマト君不足だよお…。」
寂しい。会いたい。声だけでも良いから聞きたい。今は丁度お昼時、ヤマト君も休憩に入っているだろう。携帯の画面、愛しい彼の名前をタップする。ちょっとだけ緊張してしまうのは何故だろう。
「あ、もしもしヤマト君?」

大学が終わったその足で向かうは彼のバイト先。何度来ても立派な屋敷の前では少しそわそわとしてしまう。さて、今日はどのくらいかかるだろうか。終わる時間が定められていないこのバイトでは彼が出てくるまで一時間以上待つ事も多々ある。それでも待っていたいと思うのは仕事でくたくたになった彼にすぐにお疲れ様。の一言を言いたいからだ。その一言で花が咲いた様に笑ってくれる彼が愛おしい。
それにしても今日は遅い。ここに着いてからもう三時間は経過している。どうしたのだろう?ふと携帯を見るとメール画面に、早く終わったから先に帰宅する。との文面が記されていた。
「なーんだ。早く帰らなくちゃ。」
帰り際、上を見ると屋敷の窓から美しい人が此方を見ていた。何も言わずにただじっ、と此方を見ている。
「悲しい顔してるね。」
ヤマト君が帰ってしまったから寂しいのかな?でもごめんね。君にはあげられない。
「僕のヤマト君だもん。」

家に帰るとキッチンには空になったお弁当箱が置いてあった。
ヤマト君は疲れてもう寝ているみたいだ。さて、僕もご飯を作ってお風呂に入って早く寝なくちゃ。

眠りにつく前に隣にいる彼の顔を眺める。好きだなあ。チュッとばれない様にキスをして電気を消した。どうか彼が起きません様に。
「おやすみなさい。ヤマト君。」


「いらっしゃいませ。…あおちゃん。久しぶりだね。お一人様でしょうか?」
「はい!今日は一人です。だってヤマト君は、」

「家に居るから。」

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