33/33
『貴方にとって千羽陽さんはどんな人ですか』
兄ですか?少し困った面もありますが、優しい人ですよ。
『困った面、とは?』
お酒の量が少し。体にも悪いのでもう少し控えてくれるといいな・・・と思いますね。
『現在、千羽陽さんはお仕事をしていないそうですが・・・』
一応は、店の相談役としての地位にありますから、全く仕事をしていないというわけではないですよ。
『それは失礼しました。・・・普段、千羽陽さんはどのような生活をされているんですか?』
兄はあまり住まいである離宮から出ることがないですし、逆に僕は仕事で外に出ることが多いので、普段の生活の様子については詳しくは知りません。
『・・・そうですか』
あの。本題に入って頂いて結構ですよ?長く時間をかけるようなことでもないですよね、聞き取り調査なんて。
『そうですね。それでは単刀直入に聞かせて頂きます。最近、何か変わったことや困ったことは起きていないですか?』
単刀直入という割には、回りくどい聞き方ですね。
『それは』
すみません、つい。でも、特に変わったことも困ったこともないですよ。昔から変わらないことばかりです。
『・・・変えようとはしないんですか?』
する必要がありませんから。あぁ、でも。最近は少しずつ弟が自立してきているので、それに協力ができればいいなと思っています。
『そうですか。・・・私たちに何か出来ることがあれば、いつでもご連絡をください』
ありがとうございます。・・・機会があればそうさせてもらいます。
「連絡、してきてくれそうにないですね」
「まぁ、仕方ないだろ。明らかに俺らのこと信用してない目してたしな」
「え?そうでしたか?なんというか優しそうな雰囲気でしたけど」
「・・・お前もまだまだだな」
「・・・舞白さま」
「心配するといけないから、兄さんと椿には内緒にしておいてくださいね」
「かしこまりました」
「・・・・・・今更来たところで何も変わらないっていうのに」
「どうかしましたか?」
「なんでもないです。あぁ、そういえば、そろそろ時間ですね」