血の池地獄2
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此処へ来てどれほどの時間が経ったのでしょう?

もう遠い昔、けれど今でも鮮明に覚えている。ちはや兄様が死んだあの日のことを。1人きりで逝ってしまった、最後まで私から逃げ続けた、狡い人。
舞白兄様も私を置いて逝ってしまった。舞白兄様はちはや兄様を愛していたのだから1人後を追うことは予想の範囲内ではあったのだけど、それでも止められなかった自分に嫌気がさした。



「ぷはぁ…!」

思考が止まった真っ白の頭で必死に息を吸う。視界にチカチカと光が走る。
光が収まりぼんやりとした視界に映るは赤、赤、赤。異常な程真っ赤な水、浮かぶ死体、醜悪な姿をした鬼と呼ばれる異形の者。いつもの景色。

あぁ、私に気付いた醜悪な化物が気持ちの悪い笑みを浮かべて私に近付いてくる。
また深く苦しい水底に沈められるのね…一体何度死ねばこの世界から解放されるのかしら?

ねぇ…

「たすけて、−−」

無意識に溢れた言葉。口にした誰かの名前は真紅の水に吸い込まれて掻き消えた。


…貴方達は今幸せ?





千羽陽様が描いてくださった椿くん血の池地獄イラストの個人的パラレルイメージです。

 

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