血の池地獄1
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貴方は今何処にいるの?



「ねぇ、いつも同じことの繰り返しでつまらないと思わないの?」

私と同じ罪人が責苦を負わされている姿を頬杖をつきながら眺める。どうしても面白みに欠ける光景に欠伸を漏らし、ふと気になったことを目の前の化物に問いかけた。
化物は私をちらりと見ると気持ちの悪い、醜悪という言葉では形容出来ない程の不気味な笑みを浮かべて、必死に助けを求める罪人を絶望という水底に押し沈める。

「悪趣味ね」

化物の表情から読み取れた言葉はその姿に似合いの醜悪なもの。私も本来ならあの化物に蹂躙される側だったのだと思うと吐き気がする。

「気持ち悪い」

ぽつり、と吐き出せば心配を示す言葉と共にふわりと抱き上げられた。
昔と変わらない力強い温かさにふっと頬が綻ぶ。

「大丈夫よ、戻りましょうか」

見慣れた顔を見上げて微笑みかければ柔らかい笑みを返してくれる、私の愛しい人。
すり、と甘えるように寄り添い瞳を閉じる。

ねぇ、貴方は今何処にいるの?早く会いたい…早く、
貴方にも私たちの苦しみを、地獄を味わわせてあげたいのに。





千羽陽様が描いてくださった椿くん血の池地獄イラストの個人的イメージです。

 

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