21

しかし会計のうにゃさは基本設定なのかねえ。

机に上半身と腕を投げ出してべーっと会計に舌を出した。

「あーあ、なんだ八つ当たりのつもりで意地悪したのに、結局惚気られちゃったよ」

俺の体勢を真似した会計がおんなじようにべーっと舌を出してくる。

うにゃーい。

ぷくーと頬を膨らませれば会計が苦笑して身体を起き上らせた。

「はいはい、はいはい追いかければいいんでしょ、はいはい」

適当にひらひらと手を振っていた会計がそこでにやあと笑みを浮かべる。

こ、これは間違いなく巻き込みフラグ…!!

こーきくん危険察知レーダーが反応するも身体に司令がいく前に会計が口を開いた。

「追いかけるには俺仕事片付けなきゃいけないんだよね☆」

「わあ大変ふぁいと」

「けど今いっそがしいんだよね☆」

「わあ大変ふぁいと」

「ちょっと手伝ってくれないー?」

俺の明らかな抵抗を察してくれなかった。

「やだぬめんどうだぬ働け生徒会」

仕方なくがっつりと断れば「俺と君の仲じゃなーい☆」なんて仲良く机を合わせてくる。

小学校か。
ていうか会計のテンションが修学旅行の夜みたいになってるうにゃいなんでちょっとうきうきなんであろーうにゃい。

「うっへえ」

全ての感想を一言に込めて吐き出せば会計にデコピンされた。

「頼むよー、新歓何やるかだけでも案ちょーだいよー」

「新歓?」

「新入生歓迎会」

ほう、なるほど。

「…ってそれ俺歓迎される方だあああ!」

自分のための自分による歓迎会とか何が楽しいのか!せめて人選考えるがよいよ!!

「いやいやだからこそだって!はい、君たち何したいの?」

いや手をマイクかわりに突き出されても。

「よく考えてよ?君の大好きな峯くんの高校生活の思い出になんのよ?」

「よっしきたまかせろ!!」

「よっしゃ単純な子ゲット!!」

がっつり聞こえてまっすよ。

いやしかし柚弦が関わるとなれば話は別!!

柚弦の笑顔のために頑張るもの!


とはいいつつ。


「…柚弦が喜ぶ新入生歓迎会とは…?」

「うん、まず前提から考えなおそうか」

ついには会計が惚気に飽き始めた。

話振っといて飽きるとか!


「むー…。俺が個人的に喜ぶのしか思いつきませんねえ」

「わあなんて欲望に忠実な子」

うるせぇい。

会計だって何の案も出せてないくせにー。
歓迎される立場に丸投げしたくせにー。


「ちなみに去年は?」

「鬼ごっこ」

鬼ごっこ?

「小学生か」

今度こそ口にだせば会計が偉そうにちっちっちと指を振った。

顔がいいからさまにはなるけどうにゃさは隠し切れていないよ!

「そんじょそこらの鬼ごっこと一緒にしないでくれるー?規模と熱気が違うようちは!何しろ御褒美は生徒会関係だからね☆」

「うっへえ」

「ちょっとちょっと、少しは喜びなよー。俺らがわざわざ君たちのお願い叶えるっていうのにさあ」

「柚弦と両想い」

「ごめんなさい」

「頑張ってあげてぇえええええ!!!」

はっ、会計とノリノリでお喋りしてる場合じゃにゃー!!

さっさと会話終わらせて柚弦に癒してもらおうねえ!
今頑張れば柚弦に会えるとか思うとやる気ばりばり!!

「ていうか去年と一緒でよいのでは」

説明もらくちん!

「俺もそう思うんだけどさー。あの俺様な会長が、去年と同じじゃつまらない少しでも変えろっていってきてさー。だったら自分で考えろって話だよ、ねえ?」

仲良しを装ってねえ?ねえ?と顔を覗きこんでくる会計から距離を取るように蹴りを放つ。近い。

「うにゃい。むしろ使えない会計で会長に同情」

「あれ君もっと優しい子だと思ってたんだけど」

「ある少年のふざけた態度は、無垢で純真であった一人の少年の心に暗い影を落としたのだった…」

「で、なんか案浮かんだ?」

「無視だ!?」

やっと心のストーリー聞いてくれる人の傍で言えたのに完璧スルーだ!

うええ柚弦だったら絶対笑ってくれるのに!
柚弦ー柚弦ー、柚弦の笑顔が恋しいよー!!

俺様せんせーのばかー!!!

「はいはいトリップしない」

「うひょう」

いろんなとこに飛んだ心の声が会計の暴力で戻ってくる。

ついでに頭叩かれた衝撃でぴこん!とこーきくんが閃いた。

「鬼ごっこに運命の人探しをプラスするぬ!!」

「はー?」

その冷めた目地味にこーきくん泣いてしまうよー。

「鬼ごっこ、逃げながら運命の人探しをすればいいのでっすよ」

「うん、さっきとあんまり変わってない。イコール全然わからない☆」

「会計使えにゃー」

「いや今俺絶対悪くないよね?」

仕方ないから噛み砕いて説明。


「まず逃げる人たちを色分けしますねえ」

「ほうほう、どんな感じに」

「とりあえず、おんなじ色が3〜4人くらい」

「…え、それだと色の数半端なくない?」

「じゃあ数字でよいです応用力ー」

「ごめんなさい」

で、この学園がS、A、B、C、Dの5クラス×40(人数)×3(学年)だからえーっとえーと…。

「鬼役は?」

「去年は3年だったかな?」

「じゃあ3年抜かしてー…」


1、2年計400人に、1つの番号が3〜4人になるように数字振り分けてー。

つまりは同じ番号の人が3/400または1/100!!

「で、1、2年は逃げつつ、自分とおんなじ数字持った人を探す!」

「…へえ、まあ逃げる方もいやがおうでも人と関わんなきゃいけなくなるし、歓迎会としてはいいかな…。巡りあえたら終わりで、そのコンビに賞品だせばいいか…」

うひょ、会計真面目バージョンだ!
けどなんでだろう、うにゃさが隠しきれにゃー!


「まあ、まだ詰まってない部分あるけど、原案として会長にも話してみるよー☆」

ぬおお採用された!
半分テンションだったのに採用された!!

用は済んだとばかりにガタガタと会計が机を元に戻す。

「はい、ご協力ありがとねー☆」

キラッとピアスを輝かせて笑った会計がいい子いい子ーって言って俺の頭をさらりと撫でた。

う、

「うっへえええ………」

「ちょっと素直にも程があるよー?親衛隊の子だったら感激してるとこだっていうのにねえ」

イケメンの自慢だー。
そんな心外だなんて目されても俺は柚弦一筋だぬ!


prev | next


back main top
 
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -