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転校生へのやっかみがなぜか自分への攻撃に変わったところで、つんつんと覆面ネコ耳が軽く引っ張られる。

おおう、流石毛糸、肌とすれてもっさもさする!


犯人は会計さんだった。

転校生、柚弦、俺、会計の順で座ってるせいか転校生に絡めない会計が俺に標的をかえたものだと思われ。

早い!早い!!早い!!!をモットーとする学園のウェイターさんが運んでくれたお昼を前に、最大の敵出現である。

落ちついてご飯食べさせてくれないのかしらまったくこーきくんこまっちゃう。

「何をするでござる。やめてくれたもーう」

「うん、努力は認めるけど、敬語できてないからね☆」

転校生にケチつけておきながら壊滅的だった。そう言えば俺様せんせーにも対してちゃんとした敬語使ってなかった。

いや違う、使えないわけじゃないのでっすよ!(転校生とは違うぬ!)

ただたんに、あ、こいつに敬語いらんわぁと思った人には嘘をつけない性格なのであった、まる。

つんと毛糸の耳を引っ張られて、俺からは全然見えないけども、声の位置からしてわざわざネコ耳の方に声をかけてるらしい。

「ねえ、君ってさあ」

「ほいほい」

「あの子のこと、好きなの?」

「ですねえ」

こくりと頷けば会計に耳を摘ままれてるせいでさらに顔と毛糸が擦れた。
堂々と言った俺に、会計は驚いたように目を見開いたあと、変な顔して笑った。

「ふ〜ん、へえ、そうなんだあ〜。あれ、もしかして両想いだったりするのー?」

スプーンを口にくわえてゆらゆら動かす会計を真似て、俺も加えたストローをぷらぷらと揺らした。

「まさかあ。片思いですけどもなにか」

ちなみに横で堂々と話してるけど、柚弦には転校生の大きな声と、会長副会長、双子の騒がしさで聞こえてないと思われる。

ここで密かに柚弦が聞いててくれたりとかしたら、フラグも立つのであろーか。

…そうだったら一ヶ月俺苦労してないね!

………うん?一ヶ月って、思えばそんなに長くない?
…………ぬ、おおおお!!

一ヶ月!4週間!30日!え、えと、24×30…え、と、えええっと、おおおお無理…!!

ともかく、俺の今までの蓄積してきた柚弦との時間を、転校生に越えられるわけにはいかないぬ!!


「柚弦、柚弦、クリームパスタうまうまし?」

「うん、うまうまし。食べる?」

ぐいぐいと腕を引っ張って、ようやくこっちを見てくれた柚弦が、はい、とパスタを絡めたフォークを向けてくれる。

にへにへにへにへ。

ぱくっと嬉々として食いつけば、にこにことした笑顔。

「うまうまし?」

「うまうましい!!」

幾度となくこの方法で柚弦いおすそ分けしてもらったおかげか、聞けばすぐに柚弦も反応してくれるようになった。

「俺もそれ食べたい!」

そしてもちろん俺がにへにへしてれば、転校生くんが対抗してくるわけでして。

「え、けど幸高、頼んだのと俺と一緒じゃん」

きょとんと柚弦が首をかしげるの当然、転校生は柚弦とおんなじクリームパスタを頼んでる。

ふ、ふははははは!

そうであろうそうであろう、うっかり柚弦とおんなじにすると、食べ合いっこが出来ないんだず!!

これが一ヶ月の差というものだぬ転校生…!

「けど食いたい!!」

「幸高、お腹すいてるなら僕のあげますから」

「…腹黒、うつる…だめ」

駄々をこねる転校生に、すかさず株を上げようとした副会長を書記が衝撃的な言葉で止めた。

「…腹黒ウイルス、経口感染?」

ぽつりと言えば、そういうことには地獄耳な双子が大爆笑だった。

「うひゃひゃひゃ!!」

「うひゃひゃひゃ!!」

笑い方まで一緒の双子の笑顔につられて、一緒になってふひゃひゃひゃと笑えばびしいっと指さされた。

「おまえ!!峯?」

「峯?だっけか?」

「「あれ?」」

二人で首をかしげる双子に名指しされた柚弦が「峯はこっち」と笑いながら手をあげた。

双子は生徒会役員だけど、おんなじ1年だから気が楽なんだろう。

そういえば会長副会長書記双子、取り巻き二人を全て柚弦に任せちゃってた。(まあ取り巻きは生徒会の勢いに負けてるけどねえ!高橋ざまあ!)

…というかむしろ柚弦がとられてた!!俺のおばか!!!

ちなみに転校生に構っもらえなくて、ネコ耳引っ張ったり俺の腕引っ張ったりしてる会計は放置プレイだぬ。


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