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へにょんとへこむ俺にずぼっと何か被せられた。
視界が一気に狭くなる。

「て、ッ敵襲じゃあああああ!!!」

「うわっ、ごめん、急に被せてごめん。びっくりしたな、ごめんな」

叫んだ俺の口元をぱっと柚弦が塞ぐ。けど発せられた声はなかったことにはならず、食堂に向かい始めた転校生の一行、プラス野次馬の視線が突き刺さるのがわかった。

「なにその毛糸の覆面!!ネコだ!なんかかわいい!!」

見えない俺の代わりに転校生が大きな声で説明してくれた。

まさかの覆面を被せられたらしー。
銀行強盗?とか思ったけど、転校生が言うにはかわいいらしいからデザインもちゃんとしてるんだろう。

なにそれなにそれ!!と騒ぐ転校生の背中を押して食堂へ向かわせながら、柚弦が俺に向けて笑った。


「プレゼント」


って、転校生に聞こえないように柚弦の唇だけがぱくぱくと動く。

ぷぷぷぷぷぷれぜんと!!!!
柚弦から俺に!!
にへえ、と頬がゆるむ。

嬉しすぎるるるる!!!!

だから生徒会の皆さまが何だそれって顔してたって関係にゃー!!!

生徒がこそこそ話してたって関係にゃー!!!

取り巻き高橋に鼻で笑われたって…、…いやなんか高橋だけイラっとする何でであろー!

けど何故このタイミングで覆面プレゼント?
へこんでたから励ましてくれたのかねえと首をひねるけど、そんなことより嬉しさが勝って、にまにまとしながら野次馬生徒を蹴散らしていく転校生一行(正しくは柚弦)にくっついていった。

転校生がいなければ今頃抱きつきにいくのになあ…。
転校生に騒がれたらまた皆さまに睨まれるフラグだよねえ…。

ほんとに転校生厄介事しか持ってこないのねえ……。

50分と十分あるはずのお昼休みも、せんせーのお手伝いで10分減って、今のいざこざで10分減って、あと30分。

いかにして柚弦にくっつきましょーかねえ。


ミッション開始!!!



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