08
「あん?もっとだるだるやるかと思ったらやるときゃやんのかお前」
「お友達が待ってるんで〜」
もしかしてこれ終わるまでせんせーとのお喋りタイムなのか、はっはー嬉しくにゃー。
さらに手を動かすスピードが増す。
「おともだち?ああ、峯か?」
がちっ。
「針詰まったあああ」
「わかりやすい動揺の仕方だなぁ、オイ」
ただ峯の名前出しただけだろってにやにや笑われて、ばーっと顔が熱くなった。
「や、違うし!動揺してにゃー!!」
そもそも隠してるわけじゃにゃー。
うっかり来る前の笑顔思い出しただけだぬ。
「ってか、幸高もよぉ…。柚弦、柚弦って、あいつのどこに惚れてんだ?どう見ても俺様の方がかっこいいじゃねえか」
「明らかに柚弦のがかっこいいです」
何故か突然決め顔をし出したせんせーは確かにイケメンホスト。
けど比べるまでもないぬ。
なんたって柚弦は俺の運命の相手だからね!
「ってもよ…。あいつノンケだろ?」
かしょん。
せんせーの一言にスピードに乗っていた俺の手が止まる。
ノンケ。男に興味ない。
このホモバイばっかの学園で。
「知ってる」
今さら意地悪くそんなことを言ってきたせんせー、生徒いじめだー、鬼畜だーとか思いながら再び手を動かした。
「あいつ、お前のことそーゆー目で見てねぇだろ?報われねえんじゃねぇの?」
「うるせぇい。覚悟の上だちくせーう」
やけくそになって言えばせんせーが笑ったのが分かった。
「面白ぇなあお前。その年で報われねぇ恋に挑むのか」
「報われねぇかはまだわからーんっ!」
せんせー、ひどいよう。けど柚弦に会えたってだけで今はまだ幸せなのである。柚弦が俺のこと友達としかみてないのだってわかってるけど、それでもいーやって、や、よくはないんだけど、高望みはしちゃうんだけど、それでも笑顔ひとつで俺をにへにへさせちゃう柚弦はやっぱりすごいよねぇ。
流石は最強だぬ。
……というかなんで俺せんせー相手に惚気てるのー。
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